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薬物アレルギー[私の治療]

登録日: 2025.12.28 最終更新日: 2025.12.28

山口由衣 (横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学主任教授)

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薬物アレルギーは,薬物を投与されて生じる有害な過敏反応のうち,特に免疫介在性のものを指す。薬物を使用後数分から数時間以内に症状が現れる「即時型アレルギー」と,数日以降に現れる「遅延型アレルギー」がある。前者では蕁麻疹,血圧低下,喘息様症状などを呈し,後者では皮膚や粘膜の多彩な発疹(紅斑,丘疹,紫斑,水疱,びらん),発熱,腎障害や肝障害などを起こしうる。時に生命を脅かす医原性疾患であり,迅速かつ適切な対応が必要である。最重症型の遅延型薬疹は,スティーヴンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)/中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)であり,SJS/TENのわが国の死亡率は,それぞれ4.1%,29.9%と近年報告されている1)

▶診断のポイント

薬物アレルギーの診断において最も重要なことは,薬剤摂取歴(薬剤の開始時期,皮疹の出現時期,過去の薬物アレルギー歴など)の詳細な問診である。薬剤感作の期間は,薬剤の種類や臨床型によっても異なるが,遅延型薬疹の場合の多くは,5日~2週間程度である。薬剤感作の既往があれば,2回目以降の症状の出現は1日程度と早い。


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