脳腫瘍は,原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍に大きく分類される。原発性脳腫瘍は脳細胞(神経細胞や膠細胞など)だけでなく,硬膜,くも膜,頭蓋内の血管や末梢神経,その他のあらゆる組織から発生し,良性・悪性を含めて組織学的に多種多様に分類されている。原発性脳腫瘍の発生率は10万人当たり11~12人と報告されており,日本脳腫瘍統計によると成人期には神経膠腫・髄膜腫・下垂体腺腫・神経鞘腫の4種類が特に多いとされている。発症年齢は組織型によりパターンがあるものが多い。小児期・AYA世代に多いのは頭蓋咽頭腫,胚細胞腫,髄芽腫などで,アジア,特に日本人のAYA世代に多いのが胚細胞腫(ジャーミノーマ)である。下垂体近傍に発生し,思春期早発症や尿崩症など内分泌障害を思わせる症状で発症する。時に発達障害と診断されることもあり,また男子に多いが片麻痺で発症することもある。
▶診断のポイント
頭痛・嘔気・うっ血乳頭などの古典的な頭蓋内亢進症状,発生する場所による片麻痺・視野異常・失語などの神経症状,尿崩症・無月経・先端巨大症やクッシング病などの内分泌症状を呈する。痙攣発作も見逃してはならない症状であり,初発の痙攣発作の際は,脳に器質的疾患がないかどうかを確認しておく必要がある。
診断は,画像診断が重要な要素となる。MRI・MRSによる情報は,造影のパターンやその部位などが大きく参考となる。また,年齢・性別,症状の増悪速度なども貴重な診断材料となる。もちろん病理診断が最終的な確定診断となることは言うまでもない。
