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内ヘルニア[私の治療]

登録日: 2025.12.26 最終更新日: 2025.12.26

三澤健之 (帝京大学医学部外科学講座教授)

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内ヘルニアとは,腹腔内に生理的に存在あるいは先天性異常によって生じた腹膜の陥凹部(腹膜窩)や腸間膜の間隙(異常裂孔)に腸管など腹腔内臓器が入り込んで嵌頓し,腸閉塞症状を起こすものである。したがってその原因によって腹膜窩ヘルニアと異常裂孔ヘルニアにわけられる。頻度は腸閉塞に対する手術例の0.5~0.8%と,比較的稀である。腹膜窩ヘルニアである傍十二指腸ヘルニアは内ヘルニアの約半数を占め最も多い。異常裂孔ヘルニアではS状結腸や横行結腸の腸間膜裂孔ヘルニアが多い。最近では,手術や外傷などによって後天性に起こった腸間膜欠損部や間隙に内臓が嵌頓する場合も含まれる。Petersen’s herniaは胃手術の再建時に挙上した空腸・空腸間膜部に生じた間隙に腸管が嵌入する医原性内ヘルニアである。

▶診断のポイント

【症状】

診断はきわめて困難で,腸閉塞の診断のもとに手術を行って初めて本診断が確定することが少なくない。症状は腸閉塞に伴う消化器症状で,腹痛,悪心・嘔吐,排便・排ガスの停止などがみられる。腸管などヘルニア内容がヘルニア門で強く圧迫されて血流障害をきたした場合を絞扼性ヘルニアと言い,放置すれば4~12時間でヘルニア内容が壊死し,敗血症やショックへと進行する。

【検査所見】

絞扼性ヘルニアに移行しやすいため,炎症反応(白血球,CRPの上昇)や代謝性アシドーシスが顕著な場合は腸管壊死を疑う。腹部単純X線検査(立位,臥位)では腸管ガス像の異常(拡張,位置,形状など)がみられる。多列検出器CT(MDCT)による多断面再構成(MPR)画像が術前診断に有用とされ,嵌頓部位を同定あるいは予測することができる。造影剤を使用すれば嵌頓腸管のviabilityを評価できる。


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