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大動脈解離[私の治療]

登録日: 2025.12.20 最終更新日: 2025.12.20

松田 均 (国立循環器病研究センター副院長/心臓血管外科(血管外科)部長)

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大動脈の内膜に亀裂(エントリー)が生じて中膜内に血流が生じる状態を大動脈解離と言う。解離が進んで再度内膜に亀裂(リエントリー)が生じることがある。分枝の起始部が解離して偽腔から起始する形になることもある。解離した大動脈壁内の偽腔は血栓化することもあるが,血流が残存することもある。解離の部位,分枝との関係,偽腔の血栓化など様々な病態を呈する。
偽腔の大動脈壁が菲薄になるため,血液が心囊内に漏出して心タンポナーデをきたしたり,縦隔や胸腔で破裂したりする。また,偽腔が拡大して真腔が圧迫されることで主要な動脈分枝が閉塞し,臓器虚血をきたすこともある。
稀に発症時期が不明な“慢性”大動脈解離として診断される場合もあるが,大半は強い胸痛や背部痛で発症し“急性”大動脈解離の診断に至る。

▶診断のポイント

突然発症する胸痛,背部痛,腰痛が特徴的であり,それに続いてショック状態を呈するほか,臓器虚血症状としての意識消失,上肢痛,腹痛,下肢痛などが続発する。
「胸背部痛が持続しているが心電図変化がない」場合には,必ず大動脈解離もしくは大動脈瘤破裂を疑う。胸背部痛が軽快し,原因不明として帰宅したあとに診断がつくことも少なくない。定型的な症状がないため,鑑別疾患として大動脈解離を念頭に置くことが最も重要である。

超音波検査では心囊液の貯留,大動脈内の解離内膜,頸動脈の解離などを認める。単純CTでは大動脈の拡大,心囊液,縦隔血腫,血胸などのほか,石灰化した内膜を大動脈内腔に認めたり,早期に血栓化した偽腔を三日月状の高吸収域として認めたりする。確定診断には造影CTが最も有用であるが,造影剤の急速な注入により血圧上昇をきたし,解離の進展,ショック状態の増悪をきたすこともある。大動脈解離が疑われた段階で専門医に紹介することが重要である。


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