無気肺とは,肺胞の含気低下により,肺の容積が減少した状態である。気道内の腫瘍,粘液栓,異物などによる閉塞性(再吸収性)無気肺と非閉塞性無気肺にわけられる。後者には気胸による受動型無気肺,胸水・囊胞などによる圧迫型無気肺,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などによる肺サーファクタント減少と肺拡張不全を伴う癒着型無気肺,慢性感染症や肺線維症などによる瘢痕型無気肺が含まれる1)。中葉舌区症候群にはどちらの無気肺も関与しうる。アスベスト曝露例などにみられる円形無気肺と,横隔膜の可動性低下と関連して下肺野にみられる板状無気肺は圧迫型無気肺に含まれる。
▶診断のポイント
肺葉性無気肺については,それぞれの肺葉ごとに典型的な胸部X線所見が知られている2)。一般に,胸部X線およびCT所見が有用であり,無気肺部分は濃厚な陰影を呈し,葉間裂や気管支血管束の偏位,健側肺の過膨張や縦隔の偏位などがみられる。緩徐な進行では症状に乏しいが,急性発症した場合,換気血流比不均等による低酸素血症をきたす。咳嗽,喀痰,喘鳴,呼吸困難,胸痛などの症状を呈する場合がある。リスク因子として,胸部・腹部の手術,気管挿管下での呼吸管理,長期臥床,肥満,加齢,鎮静薬投与などがある。
