検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

【識者の眼】「標準型電子カルテの行方」土屋淳郎

登録日: 2025.12.18 最終更新日: 2026.01.05

土屋淳郎 (医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)

お気に入りに登録する

厚生労働省は、遅くとも2030年にはおおむねすべての医療機関で患者の医療情報共有のための電子カルテ導入をめざすとしている。東京都においても、病院は2027年度、医科診療所は2030年度までに電子カルテ導入率100%をめざし、2025〜27年度を重点支援期間と位置づけ、電子カルテ導入に向けた様々な対策が進められている。新規導入の経費の補助や導入に関する講演会などが実施されており、筆者も講演会で話をする機会があるが、その中で標準型電子カルテについての話題に触れることがあるので、本稿ではこれについて少し述べたい。

標準型電子カルテの動向については、本連載「2025年問題を超えて医療DXはどうなる」(No5288)でも触れたが、上野智明氏の「医療DX②:標準型電子カルテについて」(No.5292)に詳しく書かれているので、まずはこれを必読である。

さて、2025年3月の日本医師会医療情報システム協議会で確認した標準型電子カルテα版(いわゆるテスト版)は、3文書6情報ビューワーという印象だったが、その後も開発・改良が続いていると聞いている。開発会社が変わったとの報道もあるので今後の動向が気になるものの、現時点では2026年度末の完成が目標とされている。

一方で、現在開発中の医科無床診療所向けの標準型電子カルテの中で、国の医療DX対応機能に限定したものとして「医療情報共有アプリ」(仮称)も開発されているとの情報がある。診療情報提供書や検査データの閲覧・送付、検査データ登録などができるようになり、紙カルテや現行の電子カルテの業務を維持したまま国の医療DXに対応できるようになるという。つまり、先のビューワーに加えて、3文書6情報をアップロードできる機能が追加されるといったイメージだろう。

なお、連動する「電子カルテ情報共有サービス」の運用については、医療法等の一部を改正する法律案の成立が必要なため、実際の運用開始はその後になるが、完成時期は2026年度中とされている。つまり、現状の標準型電子カルテは、紙カルテや現行の電子カルテを併用しつつ、3文書6情報の送受信・閲覧ができるシステムということである。将来的にはさらなる機能開発が行われていくと考えたいが、少なくとも2026年度末の段階では、我々臨床医が想像する電子カルテとは異なると考えられる。

標準型電子カルテの行方には期待と不安があるが、少なくとも現段階で「標準型電子カルテが利用できるようになるまで電子カルテの導入は待とう」と考えていると、電子カルテ導入の補助金など各種支援策を受けることができなくなる可能性があるので注意が必要である。

土屋淳郎(医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)[標準型電子カルテ][医療DX

ご意見・ご感想はこちらより


1