骨盤骨折は,骨盤輪が破綻する骨盤輪骨折と寛骨臼が骨折する寛骨臼骨折に分類される。軽微な外傷で高齢者に発症する脆弱性骨盤輪骨折は,高エネルギーで若年者に発症する骨盤輪骨折と病態や治療方針が異なるため,別のカテゴリーとして扱うことが多い。
▶診断のポイント
骨盤骨折が疑われる症例では最初に骨盤単純X線撮影をするが,単純X線では診断できない骨折も多いため,基本的には全例にCT撮影が必要である。また,造影CTでは造影剤の血管外漏出の有無で動脈損傷の評価も可能である。脆弱性骨盤輪骨折ではCTでも診断できない症例もあるため,CTで骨折が不明で骨盤部の疼痛が持続する症例では,MRIによる診断が有用である。
