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扁平母斑(茶あざ)・カフェオレ斑[私の治療]

登録日: 2025.12.11 最終更新日: 2025.12.11

鈴木民夫 (山形大学名誉教授,大森駅前皮膚科院長)

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境界明瞭で一様に着色した褐色斑で,大きさは数mmから手掌大,多くは卵円形であるが,不規則な形状のものもある。発症時期は,出生時から存在するものもあれば,生後に現れるものもあり,後者では思春期以降に現れることが多い。出生時から存在する場合,形状は生涯にわたって不変である。
わが国では,神経線維腫症1型(NF-1)をはじめ,McCune-Albright症候群,Proteus症候群,Legius症候群,Watson症候群などの疾患にみられる場合をカフェオレ斑と,合併してない場合を扁平母斑と称している。海外では,扁平母斑(nevus spilus)はspeckled lentiginous nevusと同義,つまり,境界明瞭な褐色斑内に濃い褐色や黒色の斑,丘疹が混在し,境界母斑と類似した母斑細胞の増殖を伴う病理組織像を呈するものを意味することがある。speckled lentiginous nevusから発症した悪性黒色腫の報告もあるので注意が必要である。

▶診断のポイント

平らで滑らかな褐色斑で,色は茶色から黒色まで様々であり,均一な色合いが特徴である。片側性で有毛性の場合は特にベッカー母斑(Becker’s nevus)と呼ばれる。青年期に好発し,表面が疣状のことがある。

ダーモスコピー所見は,非特異的であり,一見すると不定形の褐色斑が集簇し,一部融合している。その隙間に健常皮膚が存在し,健常部は多くが毛孔一致性である。
病理組織所見は,表皮突起が延長し,メラノサイトの数は正常である。基底層にメラニン量の増加がある。真皮上層にはリンパ球と組織球の軽度の血管周囲浸潤がある。核異型や核多形性の所見はない。

鑑別疾患として,顔面に生じた場合は褐色の太田母斑が挙げられる。太田母斑は出生後半年以内に生じることが多いが(早発性),出生時は稀である。また,思春期以降に発症することもある(遅発性)。


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