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浮腫[私の治療]

登録日: 2025.12.10 最終更新日: 2025.12.10

安藤雅樹 (医療法人豊田会刈谷豊田総合病院救命救急センターセンター長)

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浮腫は間質液が組織間隙に過剰に貯留した状態である。浮腫が生じる機序に応じた治療が必要であり,緊急性の高い浮腫は気道・呼吸・循環に影響を及ぼしているものである。全身性,局所性にかかわらず,まず気道確保,呼吸管理,循環管理の必要性を判断する。生命を脅かしていなければ,浮腫が生じた原因を病歴聴取,身体所見,検査所見より鑑別していく。

▶病歴聴取のポイント

浮腫が生じる機序としては,①静水圧の上昇(循環血漿量の増加),②血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症),③血管透過性亢進(敗血症,熱傷,外傷などの高侵襲状態やアレルギー反応など),④リンパ系還流障害,⑤静脈還流障害(深部静脈血栓症,上大静脈症候群など),⑥その他(薬剤性や特発性など),が挙げられる。これらの機序をきたしうる疾患を鑑別するための病歴聴取が必要となる。

【全身性浮腫】

体重変化と時間経過,症状の日内変動,尿量の変化,経口摂取の状況(水分や塩分摂取量など),最近の受傷有無(外傷,熱傷,感染症罹患など),含み声や嗄声などの上気道症状,咳嗽や労作時呼吸困難などの呼吸器症状,腹痛や下痢などの消化器症状,既往歴(心疾患,腎疾患,肝疾患,悪性腫瘍,手術歴,甲状腺疾患など),内服歴〔降圧薬(特にカルシウム拮抗薬),非ステロイド性抗炎症薬,ステロイドなどのホルモン製剤,漢方薬(甘草)など〕,女性であれば妊娠の有無や月経周期との関連性について聴取する。

【局所性浮腫】

急性発症か,最近の受傷歴(外傷,熱傷,虫刺されなど),既往歴(悪性腫瘍の手術歴・治療歴,血栓塞栓症など),疼痛や瘙痒感の有無などについて聴取する。


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