contested illness(CI)とはどのような疾患でしょうか。
北里大学名誉教授・宮岡 等先生にご解説をお願いします。
【質問者】
宮地英雄 こころのホスピタル町田院長
【回答】
【医学で検証されていないが,社会に広まっている疾病概念である】
現代医学では患者の病気の本態が何なのかわからない,診断や治療が見出せない心身の不調に対して,科学的にははっきりしない疾病概念が呈示されることがあります。医療社会学にはCIという概念があり,「論争中の病」「疑義の呈された病」「認められぬ病」などと和訳されており,筆者らは「賛否両論の病気」として紹介しました1)。
現時点で筆者は,CIを「①診断名は身体疾患を示唆する,②診断のよりどころは主に自覚症状であり,検査所見に明らかな異常はない,あるいは検査所見の異常が過大に評価されたり,検査所見とは関係の乏しい自覚症状が強調されたりすることがある,③医療化や疾患喧伝(disease mongering)2)との関係で論じられることもある」ととらえています。