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肉離れ[私の治療]

登録日: 2025.12.09 最終更新日: 2025.12.10

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肉離れは骨格筋の構造に損傷が生じたものであり,主にスポーツ活動中の強い伸長性収縮(エキセントリック収縮)時に発生する。損傷の範囲や程度によって治療法や治癒までの期間は異なる。
明確な腱膜損傷がない状態をⅠ型,腱膜損傷がみられる状態をⅡ型と大別し,類似したメカニズムによる腱実質部の損傷があればⅢ型とする1)。構造の損傷の状態はMRIや超音波像で確認する。
最も発生が多いのは大腿後面のハムストリングで,外側の大腿二頭筋が多くを占める。ついで,大腿四頭筋,下腿三頭筋に多くみられる。野球選手では腹斜筋群や広背筋にも発生する。

▶診断のポイント

発生が最も多いハムストリングで説明する。

伸長性収縮に伴う急性の疼痛発生であれば,本傷を疑う。腹臥位で疼痛自覚部位を確認し,視診により筋の緊張状態を観察する。触診では患部の陥凹や緊張の低下を確かめ,伸長位にならない肢位で筋収縮が可能かどうか確認する。その際,収縮時の筋の形も観察することで損傷筋やその部位が推測できる。ストレッチさせる検査は患部を悪化させるリスクがあり必須ではない。

画像診断では,超音波像やMRIで患部の構造の損傷状態を確認する。Ⅰ型では出血など液貯留による輝度変化がみられるが,前述のように筋腹内の腱膜の断裂や断裂による弛緩はみられない。Ⅱ型では腱膜の断裂や弛緩とその周囲から遠位への輝度変化が明らかである。ハムストリングの筋腹より近位の腱での断裂である場合はⅢ型とする。


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