デング熱は熱帯・亜熱帯にみられる蚊媒介感染症であり,日本脳炎や黄熱病と同じフラビウイルス科フラビウイルス属のデングウイルスの感染により起こる。WHOの報告によればここ5年間の患者数は増加傾向にあり,2024年は4月30日の時点で760万例を超える(うち死亡は3000例を超える)報告があった1)。しかしデータ収集システムが整備されていない国も多く,実際の数は不明である。わが国では感染症法4類の全数把握疾患のため,診断した医師は直ちに最寄りの保健所へ届け出る必要がある。デング熱は,最もよく遭遇する輸入感染症のひとつであるが,2014年にアウトブレイクしたように,国内での流行もある。国内流行終息後は,2019年までは毎年輸入症例として約200~500例の報告があったが,2020年以降は国内感染例は報告されていない。
デング熱はチクングニア熱,ジカウイルス感染症とともに,ネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介される。潜伏期間は3~15日(通常5~7日)である。症状は7日くらい続き,軽快する。ウイルス血症は発症前3日~発症後7日間続くと言われ,解熱後,ウイルスは分離されない。現時点では抗ウイルス薬はなく,わが国で認可されたワクチンはない(諸外国で認可されているワクチンは2種類ある)。
ウイルスには4つの血清型が存在するが,臨床症状の違いはない。流行地帯ではいくつかの血清型のデング熱が同時に流行することがある。罹患した場合,同一血清型の感染防御効果は一生続くが,他の血清型への防御効果は3カ月弱しかもたず,再感染時に重症化する可能性がある。重症型デング熱は異なる血清型のウイルスの二次感染で起こるとされているが,1度目の感染で起こることもある。
