悪性関節リウマチとは,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)に免疫複合体を介したアレルギー反応を基盤とする血管炎が併存する病態を言う。血管炎病態であるため,高度な発熱,体重減少などの全身症状,漿膜炎,心筋炎,間質性肺疾患,腸炎,皮膚潰瘍,四肢壊死等を伴うため,RAと比較して予後不良であり,厚生労働省の指定難病である。欧米ではリウマトイド血管炎と称されており,わが国では頻度が高い傾向にある。
▶診断のポイント
リウマチ因子(IgG型)が著明高値で,高度の関節外病変を伴う場合には疑うべきである。Ⅲ型アレルギー病態であるため,RAとは異なり炎症病態にかかわらず補体低下を呈する点,または高度炎症にもかかわらず補体が正常〜軽度上昇にとどまる点が特徴的である。病変組織における病理学的血管炎の証明は有用であるため,生検可能部位からは積極的に組織学的証明を試みる。皮膚潰瘍は生検部位として検体が得られやすいが,壊死組織では血管炎所見は得られないため,生検部位は生検担当科と検討すべきである。RAに合併した間質性肺疾患(RA-ILD)の存在が着目されており,RA-ILDと本疾患では治療方針が異なるため鑑別が重要である。
