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ファロー四徴症(成人先天性)[私の治療]

登録日: 2025.10.26 最終更新日: 2025.10.26

三谷義英 (三重大学医学部附属病院周産母子センター病院教授)

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ファロー(Fallot)四徴症は,心室中隔欠損,右室流出路狭窄,大動脈騎乗,右室肥大を伴う先天性心疾患である。先天性心疾患の5~10%を占め,チアノーゼ性心疾患の中で最も頻度が高い。発達障害を伴う22q11.2欠失症候群を約15%に合併する。心内修復術として,心室中隔欠損パッチ閉鎖術,右室流出路形成術が行われる。成人期に右室不全,不整脈が続発し,治療介入を要する例が経験され,適切な移行期医療,生涯にわたる経過観察と地域連携が重要である。

▶診断のポイント

術後成人期には,術後肺動脈弁閉鎖不全,遺残右室流出路狭窄(弁下,弁,弁上,分枝部),遺残心室中隔欠損,三尖弁閉鎖不全,大動脈拡大,大動脈弁逆流,右室機能不全,左室機能不全,心室性・上室性不整脈,感染性心内膜炎が問題となる。肺動脈弁切開や,特に肺動脈弁輪を超えたパッチ拡大術(transannular patch repair)による肺動脈弁逆流に対する再介入の適応の判断が重要である。ラステリ手術(導管置換術)例でも,弁機能の劣化から肺動脈弁閉鎖不全や狭窄が問題となる。

【症状】

術後青年期まで無症状な例も多いが,術後30年以上で,特に肺動脈弁閉鎖不全,遺残肺動脈狭窄による右室不全,不整脈・心臓性突然死が問題となる。

【検査所見】

定期的な心エコー検査と不整脈の評価が重要である。特に,肺動脈弁閉鎖不全,右室機能の評価には3~5年ごとの定期的な心臓MRI検査,不整脈に対するホルター心電図検査が重要である。


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