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転移性肺腫瘍[私の治療]

登録日: 2025.10.25 最終更新日: 2025.10.25

落合亮介 (帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科) 関 順彦 (帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科教授)

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転移性肺腫瘍は,他臓器の悪性腫瘍が血行性,リンパ行性に肺に転移・形成された腫瘍を指す。転移性肺腫瘍の原発腫瘍は,大腸癌,乳癌,膵癌,前立腺癌,子宮内膜癌,卵巣癌,腎癌などあらゆる臓器の悪性腫瘍である。中でも,大腸癌や乳癌などが肺転移しやすいとされる。転移性肺腫瘍の治療方針は,①転移性肺腫瘍の原発腫瘍を診断すること,②原発腫瘍に準じた化学療法を行うこと,である。大腸癌などの一部のがん種は,転移性肺腫瘍を切除することで生存期間が改善されたという報告もされており,症例ごとに腫瘍切除の検討を行う必要がある。また,共同カンファレンスを開き他科との連携を前提とした治療計画を立てることが重要である。

▶診断のポイント

転移性肺腫瘍の初期には,一般的に自覚症状に乏しいことが多いとされる。そのため,転移性肺腫瘍は,原疾患の経過観察中に,胸部単純X線や胸部CT,PET-CTなどで異常影として偶発的に指摘されることが多い。胸部CTの所見は,①均一で辺縁明瞭,ランダムかつ一様に分布する結節影,②血管または胸膜面周囲にみられるもの,とされている。転移性肺腫瘍の病勢が進行した場合は,発熱,咳嗽,血痰などの症状を呈する。原発腫瘍に対して手術や放射線療法などの根治的治療後,数年後に肺転移をきたす場合があるため,悪性腫瘍の既往を確認することが重要である。


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