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梅毒[私の治療]

登録日: 2025.05.15 最終更新日: 2026.02.21

三鴨廣繁 (愛知医科大学医学部臨床感染症学講座教授)

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▶私の治療方針・処方の組み立て方

アレルギーなど特別な理由がない限り,第一選択薬としてペニシリンを用いる。第二選択薬はテトラサイクリン系薬であるが,保険適用があるのはミノサイクリンである(ドキシサイクリンは日本では保険適用がない)。第二選択薬は,アレルギーなどでペニシリンが使用できない場合に限り使用する。妊娠期梅毒でペニシリンアレルギーがある場合は,治療経験のある医療機関に紹介する。テトラサイクリン系薬は胎児に一過性の骨発育不全,歯牙の着色・エナメル質形成不全を起こすことがあるので妊婦には使用しない。神経梅毒症例では,髄液移行性を考慮して,セフトリアキソンを使用する場合もある。

RPRと梅毒トレポネーマ抗体の同時測定をおおむね4週ごとに行う。その際も,自動化法による測定が望ましい。また,一貫して同じ検査キットを用いることが望ましい。RPR陽性梅毒の場合,その値が治療前値の,自動化法ではおおむね1/2に,2倍系列稀釈法では1/4に低減していれば,治癒と判定する。その際,梅毒トレポネーマ抗体値が低下傾向であれば治癒をさらに支持する。RPR陰性早期梅毒では,梅毒トレポネーマ抗体定量値が「低下傾向にあれば治癒」と判断する。

▶治療の実際

【第一選択】

一手目 サワシリン錠・カプセル(アモキシシリン水和物)1回500mg 1日3回(毎食後)4週投与を基本とする

早期神経梅毒の治療を重視して,アモキシシリン3~6g/日とプロベネシドの併用(投与期間は2週間程度)を勧める報告もある。

治療の初め頃の発熱(Jarisch-Herxheimer反応)と投与8日目頃から起こりうる薬疹についてあらかじめ説明しておく。いずれも女性に起こりやすいことに留意する。


一手目 ステルイズ水性懸濁筋注(ベンジルペニシリンベンザチン水和物)臀部筋注(単回)を基本とする

  • 成人および13歳以上の小児における早期梅毒:通常,ベンジルペニシリンとして240万単位(筋注)単回。
  • 成人および13歳以上の小児における後期梅毒:通常,ベンジルペニシリンとして1回240万単位(筋注)週に1回,計3回。
  • 2歳以上13歳未満の小児における早期梅毒:通常,ベンジルペニシリンとして240万単位(筋注)単回。なお,年齢,体重により適宜減量することができる。
  • 2歳以上13歳未満の小児における後期梅毒:通常,ベンジルペニシリンとして1回240万単位(筋注)週に1回,計3回。なお,年齢,体重により適宜減量することができる。
  • 2歳未満の小児における早期先天梅毒,早期梅毒:通常,ベンジルペニシリンとして5万単位/kg(筋注)単回。

いずれの場合も筋注の数時間後にJarisch-Herxheimer反応が起こりうるため,事前に説明しておく。稀であるが,ニコラウ症候群(薬剤性塞栓性皮膚症)もありうる。

【第二選択】

アレルギーなどでペニシリンが使用できない場合に投与する。


一手目 ミノマイシン錠・カプセル(ミノサイクリン塩酸塩)1回100mg 1日2回(朝・夕食後)4週投与を基本とする

▶専門家へのコンサルト

神経梅毒疑い症例では,髄液のPCR検査などが必要な場合もあるため,専門家にコンサルトするのが望ましい。妊婦梅毒に関しては,母子感染予防のためには,ベンジルペニシリンベンザチン水和物を使用するのが望ましいが,Jarisch-Herxheimer反応によるサイトカインストームから流・早産の危険性があるため,専門家にコンサルトするのがよい。ペニシリンアレルギーを有する症例も専門家にコンサルトするのが望ましい。

【参考資料】

▶ 厚生労働行政推進調査事業費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)梅毒患者の実態把握及び対策に資する研究(山岸由佳班):梅毒診療の考え方.
https://jssti.jp/pdf/syphilis-medical2403.pdf

三鴨廣繁(愛知医科大学医学部臨床感染症学講座教授)


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