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川崎病[私の治療]

登録日: 2025.04.24 最終更新日: 2026.02.21

市川泰広 (済生会横浜市東部病院こどもセンター長)

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▶私の治療方針・処方の組み立て方

急性期治療目標は,炎症を早期終息させ,心血管後遺症の発生を抑制することである。汎動脈炎が始まる前の第7病日までの治療開始が望ましい。初回療法が不応な場合でも,冠動脈拡大が始まる前の第9~10病日までに治療が奏効することをめざす。

▶治療の実際

【1st line】

発熱がある川崎病症例は,入院して経過観察する。発熱がなければ,アスピリン(ASA)3~5mg/kg/日の経口投与のみでもよいが,経過観察が必要である。微熱の持続・炎症反応悪化・冠動脈拡大などがあれば,ガンマグロブリン静注(IVIG)を考慮する。

発熱がある典型例に対する初期治療は,IVIG 2g/kgの点滴静注とASA 30~50mg/kg/日の投与である。治療に反応し,臨床所見も改善している場合はASAを減量する。スコアリングによるIVIG不応予測例にはIVIG+ASAに加えて,プレドニゾロン(PSL)やシクロスポリン(CsA)の投与が考慮される。ガンマグロブリン製剤は10%製剤が開発されており,5%製剤より投与液量・投与時間を短縮できる。


一手目 〈有熱期〉アスピリン末(アスピリン)30mg/kg/日 分3(毎食後)
解熱48~72時間後に5mg/kg/日 分1(朝食後)に減量

一手目 〈有熱期〉アスピリン末(アスピリン)30mg/kg/日 分3(毎食後),献血ベニロン-I静注用(乾燥スルホ化人免疫グロブリン)または献血ヴェノグロブリンIH静注5%(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン)2g/kg(12~24時間かけて点滴静注)併用

〈IVIG不応予測例に対して〉


二手目 〈一手目に追加〉水溶性プレドニン注(プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム)2mg/kg/日 分3(静注)
解熱し全身状態改善後に経口投与に変更。CRPが陰性化した後に同量で5日間継続し,再燃がなければ1mg/kg/日 分2を5日間,0.5mg/kg/日 分1を5日間投与後中止

二手目 〈一手目に追加〉ネオーラル内用液10%(シクロスポリン)5mg/kg/日 分2(朝・夕食前)5日間

【2nd line】

初回治療施行後も臨床所見の改善に乏しい場合は2nd lineによる追加治療を検討する。まずIVIG再投与が推奨される。PSL,メチルプレドニゾロンパルス(IVMP),インフリキシマブ(IFX)の単独投与またはIVIGとの併用も考慮される。


一手目 献血ベニロン-I静注用(乾燥スルホ化人免疫グロブリン)または献血ヴェノグロブリンIH静注5%(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン)2g/kg(12~24時間かけて点滴静注)

〈IVIG不応予測例に対して〉


二手目 〈一手目に追加(単独投与または併用)〉水溶性プレドニン注(プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム)2mg/kg/日 分3(静注)(解熱し全身状態改善後に経口投与に変更。減量,中止の方法は上記と同様),ソル・メドロール注(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム)30mg/kg/日(2~3時間かけて点滴静注)1~3日間,レミケード注(インフリキシマブ)5mg/kg(点滴静注)単回

【3rd line】

発熱が持続,再燃した場合は,3rd lineの追加治療としてIVIG,PSL,IVMP,CsA,IFX,血漿交換を選択する。

以下の治療を単独または併用で実施する。


献血ベニロン-I静注用(乾燥スルホ化人免疫グロブリン)または献血ヴェノグロブリンIH静注5%(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン)1g/kgもしくは2g/kg(12~24時間かけて点滴静注)

ネオーラル内用液10%(シクロスポリン)5mg/kg/日 分2(朝・夕食前)5日間

水溶性プレドニン注(プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム)2mg/kg/日 分3(静注)(解熱し全身状態改善後に経口投与に変更。減量,中止の方法は上記と同様)

ソル・メドロール注(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム)30mg/kg/日(2~3時間かけて点滴静注)1~3日間

レミケード注(インフリキシマブ)5mg/kg(点滴静注)単回

血漿交換:循環血液量の1~1.5倍を交換量とする(通常3日間)

▶偶発症・合併症への対応

冠動脈瘤を伴う川崎病では,抗血小板薬の投与を基本とし,巨大瘤や心筋梗塞の既往例に抗凝固薬を追加する。抗血小板薬としてクロピドグレル,ジピリダモールが使用されることもある。

小~中等瘤に対する抗血栓療法:アスピリン1回3~5mg/kg 1日1回(朝食後)
巨大瘤に対する抗凝固療法:ワルファリン1回0.04~0.10mg/kg 1日1回(朝食後)(乳児は0.16mg/kg/日)INR 2.0~2.5を目標にして投与量を調節

冠動脈病変以外にも心筋炎,心膜炎,弁膜症,不整脈,ショックなどの循環器系合併症を生じることがある。心合併症を生じている際は,体液量が過剰にならないように輸液量に注意する。脱水徴候がある場合は十分な輸液を要する。麻痺性イレウス,胆囊炎,膵炎,脳炎・脳症,血球貪食症候群など稀な全身臓器の合併症への対症療法も重要である。

▶専門家へのコンサルト

3rd lineの治療が必要な場合や冠動脈瘤などの心血管合併症が生じている場合は,専門家のいる高次医療機関での診療が望ましい。

【参考資料】

▶ 日本川崎病学会, 他:川崎病診断の手引き 改訂第6版.
http://www.jskd.jp/info/pdf/tebiki.pdf

▶ 日本循環器学会, 他:2020年改訂版 川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン.
https://www.j-circ.or.jp/guideline/guideline-series/

▶ 日本小児循環器学会学術委員会 川崎病急性期治療ガイドライン作成委員会:川崎病急性期治療のガイドライン(2020年改訂版).
https://jpccs.jp/10.9794/jspccs.36.S1.1/data/index.pdf

市川泰広(済生会横浜市東部病院こどもセンター長)


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