咽頭痛で医療機関を受診する場合,その大半は感染性の扁桃咽頭炎によるもので,原因の多くはウイルス性であるが,細菌性との鑑別は難しいことが多い。
抗菌薬治療の対象は細菌性感染であり,中でも重症化しやすいのはA群連鎖球菌である。
多くは外来で治療可能であるが,稀に膿瘍や喉頭蓋炎等,重篤な疾患の場合,入院治療を要する。
▶病歴聴取のポイント
現病歴では,持続期間および重症度に注意して聴取する。随伴症状として鼻汁,咳嗽,嚥下困難,発声または呼吸困難の有無や,先行する感染症状(全身倦怠感や発熱)の有無を聴取・確認する。特に水分摂取の可否は,臨床上その後の治療方針にも関わるため必ず聴取する。
- 咽頭痛が片側性か両側性かは,診断の補助となりうる。
- 特に小児や高齢者では,硬貨や箸,魚骨,薬のシート,義歯など,異物誤飲の可能性を症状出現前後の状況を含めて確認する。
- 小児ではHibワクチンの未接種・未完了の病歴が急性喉頭蓋炎を疑う要素となる。
- 特に高齢者では悪性疾患も咽頭痛の原因となりうる。
- 生活歴では,A群連鎖球菌感染が確認された患者との接触や,淋菌・HIV感染の危険因子について聴取する。
- 既往歴では,伝染性単核球症の既往を確認する。再発する可能性はほぼない。
▶バイタルサイン・身体診察のポイント
- 気道閉塞のリスクを除外することが最重要である。頻呼吸,呼吸困難,吸気性喘鳴,気道狭窄音だけでなく,仰臥位になれないなど患者の姿勢,発声困難や流涎,開口障害が手がかりとなる。
- 呼吸循環動態を含めた全身状態の評価が必要である。敗血症の徴候を見逃さない。
- 喉頭蓋炎を疑う場合は,気道の完全閉塞を誘発する可能性があるため,不用意に咽頭の診察を行うべきではない。
- 膿瘍形成の徴候として,口蓋垂が正中線上にあるか,片側に押されているように見えるかにも注意する。
- 圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹の有無を確認する。
- 腹部診察では,伝染性単核球症の徴候として脾腫がないか確認する。
