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災害時の感染症対策で気をつけることは?

登録日: 2024.04.05 最終更新日: 2026.07.31

藤倉裕之 (兵庫県立尼崎総合医療センター感染症内科医長) 海老澤 馨 (神戸大学病院感染症内科)

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避難所生活に関連して注意しなければならない感染症の中には,ワクチンによって予防可能な感染症(vaccine preventable disease:VPD)が多く含まれます。具体的には麻疹・風疹・水痘・ムンプスといった,感染力が非常に強く短期間での感染拡大が懸念される疾患や,季節性インフルエンザ,COVID-19があります。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では避難所でのインフルエンザの集団発生が報告されました。

そして,災害に関連する感染症として忘れてはいけないのが破傷風です。破傷風菌は小さな傷からでも感染するため,世界的にも大規模災害に関連したアウトブレイクが報告されています。予防接種が有効ですが,わが国で定期接種化されたのが1968年なので,それ以前の出生者(2024年時点で56歳以上)の場合,基礎接種が完了していない可能性が高く,発症リスクがあります。加えて,抗体価は経時的に低下することが知られており3),10年ごとの追加接種が推奨されています。わが国においても消防や自衛隊では10年ごとの接種が行われていますが,それ以外の職種では認識されていないことが多いのが現状です。自治体によっては大規模災害の発生時にボランティアに参加する方々に対して破傷風トキソイドを無償で提供するところもあり,災害支援に向かう前には必ず自身の接種歴を確認することをお勧めします。

災害はいつ起こるかわかりません。普段から社会全体として基本的な感染対策の意識をもつこと,そして自身のワクチンステータスを確認し,キャッチアップを行うことが,災害時の感染対策にもつながるでしょう。

【文献】

1)CDC:Natural Disasters and Severe Weather-Health Effects of Tsunamis.
https://www.cdc.gov/disasters/tsunamis/healtheff.html

2)日本感染症学会:感染症トピックス─災害と感染症対策.
https://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=17

3)McQuillan GM, et al:Ann Intern Med. 2002;136 (9):660-6.

【回答者】

海老澤 馨 神戸大学病院感染症内科


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