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なつかしの鯖の燻製 [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(76)]

登録日: 2016.09.08 最終更新日: 2026.02.21

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

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10月の終わりにトロントへ行った。3泊5日の弾丸出張だったけれど、ビジネスクラスを使わせてもらえたので楽ちんだった。

多くはないが、ビジネスクラスに子供が乗っているのを見ることがある。不幸なことだ、と思う。いやみなおっさんと思われるかもしれないが、そんな小さいころから贅沢しとったら、これからの人生は楽しくないぞ、とほんまに心配になるのである。

トロントでは市場をぶらついた。肉の種類の多いのには驚いた。魚屋さんもたくさんあったけれど、売られている魚の種類はさして多くなかった。が、なつかしの鯖の燻製を発見し、いろんなことを思い出した。

今を去ること25年前のドイツ留学時代、ハイデルベルクの街では新鮮な海の魚はほとんど手に入らなかった。あったとしてもバカほど高かった。なんせ、カニかまぼこに1000円近くも払った記憶がある。

なぜか鯖の燻製だけは安かった。なので、よく、お醤油をかけ、あたためて食べていた。想像力をうんと働かせれば、であるが、塩鯖に醤油をかけたような味になる。


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