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キーンベック病[私の治療]

登録日: 2023.07.06 最終更新日: 2026.02.21

松井雄一郎 (北海道大学大学院医学研究院整形外科学教室/同大学大学院歯学研究院臨床教育部准教授) 岩崎倫政 (北海道大学大学院医学研究院整形外科学教室教授)

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キーンベック病は,月状骨に何らかの原因により虚血性変化が生じ,骨硬化,圧潰,分節化などを特徴とする壊死性疾患である。青壮年の男性で手を酷使する職業の人に多いが,時に若年者や高齢者に発症する場合もある。月状骨は,手根骨の中央に位置し,流入血管は手関節の掌側と背側に限られているため,いったん骨壊死に陥ると再血行化は得られにくいことが知られている。その原因は,反復性小外傷,橈尺骨長の不均衡による月状骨への応力集中,月状骨の形態異常,局所の血管走行異常などの多くの因子が複雑に関与していると考えられているが,いまだ一定の見解は得られていない。手関節背側部の月状骨に一致した圧痛や手関節の運動時痛が出現し,手関節の可動域制限や握力の低下もきたす。

▶診断のポイント

単純X線では,Lichtman分類に従った所見1)を呈し,MRIのT1強調画像で月状骨に低信号を呈することが特徴である。また,月状骨の分節化を評価するためにはCTが有用である。

【病期】

X線学的病期分類としてLichtman分類が用いられる。stageⅠは月状骨にX線上は異常所見を認めず,MRIや骨シンチグラフィーでのみ診断が可能な時期である。stageⅡはX線上で月状骨に骨硬化を認めるが,圧潰は認めない時期である。stageⅢは圧潰や分節化を認める時期であり,舟状骨が掌屈していないⅢAと掌屈しているⅢB,および月状骨が冠状面で完全に分断しているⅢCに細分される。stageⅣでは橈骨手根関節や手根中央関節に関節症性変化を認めるようになる。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

X線上で月状骨に変化を認めないstageⅠでは,保存治療による定期的な経過観察を行い,症状の増悪やX線上でのstageの進行を認めた場合には手術治療が考慮される。ただし,高齢者では,stageが進行していても疼痛が軽度の場合,保存治療を選択することもある。15歳未満の若年者も,まずは保存治療を考慮する。


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