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睡眠障害(ナルコレプシーを除く)[私の治療]

登録日: 2023.04.19 最終更新日: 2025.09.20

三島和夫 (秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座教授)

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睡眠の異常により日中の機能障害が生じる病態の総称である。睡眠の異常には,①睡眠の質や量,出現パターンの異常(不眠,リズム障害など),②覚醒機能の異常(過眠),③睡眠中の異常な精神身体現象(無呼吸,異常行動,不随意的な筋活動,自律神経活動など)がある場合,に大別される。

▶診断のポイント

睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)1)では,睡眠障害は症状や病態から大きく7群に大別される(表1)。多くの睡眠障害では,不眠や過眠が共通して認められるため誤診しやすい。各疾患の特徴をふまえて問診し,必要に応じて終夜睡眠ポリグラフ検査,反復睡眠潜時試験を実施して,確定診断と重症度の判定を行う。

 
聴取すべき代表的な症状として,不眠症状,過眠症状,呼吸異常(いびき,息こらえ,20秒以上の呼吸停止),異常感覚(四肢などのムズムズ感,ほてり,いらいら,虫が這う,電気が走るなど多彩),不随意運動(こむら返り,ミオクローヌス,痙攣),睡眠中の異常行動(徘徊,激しい手足の動き,絶叫,大きな寝言など),自律神経症状その他(動悸,頻拍,パニック様症状,悪夢など)があり,これらが複数みられることもある。特徴的な症状の有無をもとに,順次鑑別を進める。以下に罹患頻度が高く診療でしばしば遭遇する各群の代表的疾患について症状をまとめる。

①不眠症:不眠症状(入眠困難,中途覚醒,早朝覚醒)のために,日中の機能障害が認められる。日中の機能障害には,倦怠感,集中力・注意・記憶の障害,抑うつ気分や焦燥感,意欲低下,眠気,能率低下やミス,頭痛,消化器症状,睡眠に関する不安などがある。

②閉塞性睡眠時無呼吸障害:睡眠中に咽頭・喉頭周囲の骨格筋の弛緩により気道が閉塞し,夜間の激しいいびきや換気停止による血中酸素分圧の低下,それに引き続く覚醒反応および換気回復を頻繁に繰り返す。睡眠が頻繁に中断するため,不眠のみならず日中の過眠を呈する。

③中枢性過眠症群(ナルコレプシー,特発性過眠症など):別稿「ナルコレプシー」を参照。

④睡眠・覚醒相後退障害:体内時計の調節異常のため,睡眠時間帯が大幅に遅れた状態のまま固定する。典型的には午前3~5時以降でないと入眠できず,午前9~11時以降でないと覚醒できない。入眠困難型の不眠症と誤診されることが少なくない。

⑤レム睡眠行動障害:レム睡眠時の抗重力筋の生理的弛緩が障害されるため,夢体験と一致した大声の寝言や粗大な体動が出現する。α-シヌクレイノパチー(パーキンソン病やレビー小体病)に先行して出現することが多い。

⑥レストレスレッグス症候群:夕方から夜間に増悪する下肢や上肢に生じるムズムズ,電撃痛などと表現される異常感覚のため不眠に陥る。下肢や上肢を動かしたくなる強い衝動があり,動かすことで異常感覚が軽減する。

【検査所見】

終夜睡眠ポリグラフ検査:睡眠中の脳波,呼吸,四肢および顎の骨格筋活動,眼球運動(レム睡眠とノンレム睡眠の識別),心電図,酸素飽和度,胸壁の運動,腹壁の運動などを記録することで睡眠深度の経時的推移,睡眠の質と量の異常,睡眠に随伴した異常な精神・身体徴候を同定する検査方法である。

反復睡眠潜時検査:前夜の終夜睡眠ポリグラフ検査終了後の翌朝から,日中2時間おきに,4回または5回にわたり,脳波,眼球運動,筋電図を繰り返し測定する(各20分)。各セッションの睡眠潜時,レム睡眠潜時を検出することで,過眠症状の有無やナルコレプシーの診断が可能になる。


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