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副甲状腺機能低下症[私の治療]

登録日: 2021.12.10 最終更新日: 2026.05.21

中山耕之介 (がん研究会有明病院総合診療部部長)

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副甲状腺機能低下症(hypoparathyroidism)は,副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone: PTH)の作用が低下して,低カルシウム血症・高リン血症などをきたす疾患である。PTH分泌低下による疾患群と,PTHに対する標的器官,特に腎臓での反応性低下による疾患群(偽性副甲状腺機能低下症)とに大別される。前者の中では頸部術後の頻度が高い。また先天性,遺伝性,自己免疫性のほか,原因不明の場合があり,特発性副甲状腺機能低下症と総称される。また,血清マグネシウム(Mg)濃度が1mg/dL以下となるような著明な低マグネシウム血症では,PTH分泌の抑制と標的臓器のPTH感受性低下が同時に生じ,治療抵抗性の低カルシウム血症をきたす。大酒家,吸収不良症候群,慢性下痢症,ギッテルマン症候群,急性尿細管壊死後や,利尿薬,シクロスポリン,タクロリムス水和物,アミノグリコシド系薬,シスプラチン,カルボプラチンなどの薬剤が原因となる。

▶診断のポイント

ホルモン受容機構異常に関する調査研究班の診断基準が公表されている。

【症状】

口周囲や手足などのしびれ,錯感覚,テタニー,全身痙攣などが起こる。

【検査所見】

①低カルシウム血症かつ正または高リン血症
②eGFR 30mL/分/1.73m2以上
③intact PTH 30pg/mL未満

血清カルシウム(Ca)濃度は,血清アルブミン(Alb)濃度が4.0g/dL未満のときのみ,Payneの補正式{補正Ca濃度(mg/dL)=Ca測定値(mg/dL)+〔4 – Alb(g/dL)〕}で補正する。必ず血清Mg濃度を測定し,低マグネシウム血症を鑑別する。これらのほか,血清1,25水酸化ビタミンD濃度低下も認める。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

【重症】

テタニーや全身痙攣を認める場合にはグルコン酸Caを緩徐に経静脈的投与する1)。投与速度が速いと急速な血清Ca濃度の上昇により,不整脈,血圧変動,心停止などを起こすことがあるため,心電図と血圧をモニタリングしながら注意深く行う。

【軽症~中等症】

主として経口活性型ビタミンD製剤を用いる。 海外ではPTH製剤が使用可能であるが2),わが国では適応がない(2026年5月21日追記:2025年8月,副甲状腺機能低下症に対してパロペグテリパラチド(ヨビパス®2)によるPTH補充療法が承認され,同年11月6日より発売・使用が開始されている)。腎結石や腎機能低下の原因となる高カルシウム尿症をきたすことなく,テタニーなどの症状が再発しない最小限の用量で,症状を長期的に抑えることを目標とする。血清Caは必ずしも正常化する必要はない。尿中Ca/Cr比<0.3を目安に,尿中Ca排泄量をなるべく低値に保つことのできる用量が最適である。なお,Ca補給薬は尿中・血中Caの変動を増幅して,腎結石や腎機能低下の原因となるため,基本的に慢性期には用いない。

尿中Ca/Cr比<0.3を維持できる用量の活性型ビタミンD製剤でコントロールができない場合は,尿中Ca排泄抑制効果のあるサイアザイド製剤が併用されることもある。一方ループ利尿薬は,尿中Ca排泄を増加させるので,なるべく避ける。

【低マグネシウム血症】

Mg製剤を経口的あるいは経静脈的に補充する。


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