この体制づくりのためには,①平時の医療・行政スタッフの教育活動,②情報ネットワークの構築,③発災時の支援と派遣体制の確立,の3つを推進する必要があります。
①としては,DiaMATを構成するメンバーとなる対象者に対して県や支部単位で災害医療に関する講演会や講習会を開催し,災害医療に対する知識を深めていただきます。また,これらの教育を受けた医療・行政スタッフが,市民への啓発活動や,平時からの行政や関係組織との連携構築を行うことを推進していきます。
②としては,発災時に特に影響を受けやすい1型糖尿病患者およびインスリン依存状態にある患者を把握し,SNSを使った患者間や患者と医療者のネットワーク,電子カルテ情報を活用した医療機関間の情報ネットワークなどを構築する必要があります。また,行政との連携も含めて,災害時のみでなく平時より通信訓練を行うなどの活動が必要です。
③としては,日本糖尿病学会や日本糖尿病協会の本部ならびに支部が連携し,災害の規模や場所に応じた支援体制を迅速に決定し,実際にDiaMATを派遣する体制の確立です。DiaMATのメンバーには,①で養成した医療・行政スタッフがボランティアとして参加することになります。支援する内容やDiaMATの構成は,災害の規模や場所のみならず,災害の超急性期,急性期,亜急性期,慢性期により異なってきます。
これらの活動は,糖尿病に限らず,長期的な支援を要する慢性疾患や,服用を止めると生命に関わるような薬を必要とする患者の支援にもつながります。このような疾患に係る団体との連携により,さらに効率的・効果的な支援体制が構築されることが期待されます。
【回答者】
荒木栄一 熊本大学大学院 生命科学研究部 代謝内科学講座 教授