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ダウン症候群[私の治療]

登録日: 2021.11.18 最終更新日: 2026.02.21

井上毅信 (東京大学医学部附属病院小児科)

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21番染色体全体あるいは一部が3コピー(21トリソミー)となることが原因の先天性疾患である。約95%が標準型(21番染色体が3本存在する),約3~4%が転座型,1~2%がモザイク型(正常核型の細胞と21トリソミーの細胞が混在する)である1)。転座型の場合は,片親が転座保因者の可能性がある。モザイク型の場合は症状が軽いことが多い。920出生に1人との報告があり,母体が高齢になるにつれて頻度が上昇する2)。身体的な特徴や各臓器の合併症を伴うが,患者によって表現型は多様である。

▶診断のポイント

【胎児期】

胎児超音波検査で巨舌・鼻骨欠損/低形成・nuchal translucency(NT)肥厚・長管骨の短縮・先天性心疾患・羊水過多(消化管閉鎖・狭窄を伴っている場合など)・胎児水腫などを認め,疑われることがある2)。また,出生前検査で疑われたり診断されたりすることもある。

【出生後】

産婦人科医・小児科医・助産師に広く認知されている症候群であり,出生直後に身体的な特徴(筋緊張低下・短頭・内眼角贅皮・鼻根部平坦・眼瞼裂斜上・Brushfield斑・狭い口・小さい耳・後頸部皮膚弛緩・単一手掌屈曲線・第5指短縮および屈曲・第1-2趾間離開1)など)から疑われることが多い。また,先天性心疾患・消化管閉鎖・一過性骨髄異常増殖症といった臓器の合併症を伴っている場合は,さらに診断は容易となる。しかし,稀に出生から数カ月以上診断されないことも経験する。

適切な遺伝カウンセリングを行った上で,遺伝学的検査を行い診断する。特に,胎児期に指摘されていなかった場合や,一次医療機関で出生し高次医療機関に転院になった場合は,両親が精神的に動揺している場合も多いため,より丁寧に遺伝カウンセリングを行う必要がある。通常行われる診断のための遺伝学的検査は,fluorescence in situ hybridization(FISH)法やG分染法である。FISH法はG分染法より結果報告までの期間が短いが,標準型と転座型の区別ができない1)

▶私の治療方針・処方の組み立て方

根本的な治療は存在せず,各臓器の合併症の治療を行う。

出生後早期に対応が必要な合併症としては,先天性心疾患・消化管閉鎖・一過性骨髄異常増殖症・甲状腺機能低下症が挙げられる。そのため,ダウン症候群が疑われた場合は,全身の診察・心臓超音波検査・X線検査・血液検査を速やかに行う。また,眼科医による診察・聴力検査も行う。RSウイルス感染流行初期において24カ月齢以下のダウン症候群患者は,適応となる場合,パリビズマブの投与を考慮する3)

外来でのフォローアップを継続し,適切なタイミングで療育の導入や家族会の紹介を行う。成人になった患者のフォローアップ体制の整備が課題であるが,内科との連携が望ましい。


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