検索

×
絞り込み:
124件
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

【一週一話】グリオーマに対する覚醒下手術のメリット・デメリット

登録日: 2016.09.08 最終更新日: 2026.02.21

秋元治朗 (東京医科大学脳神経外科学分野教授)

お気に入りに登録する

グリオーマの治療予後は,年齢,術前の状態,組織型,手術摘出度によって左右されるため,いかにして最大限の摘出を図るかが,我々の重要なテーマである。一方,患者が望むのは,手術によって術前の症状が悪化しないことであり,この二律背反をいかに解決するか,日々模索している。

現代のグリオーマ手術ではナビゲーションや各種生理学的モニタリングなど,多彩な医療機器を用いることで,摘出度を向上させてきた。ただ,腫瘍が言語機能野に進展している場合には,覚醒下手術にまさる正確なモニタリング法はいまだにない。

覚醒下手術は,開頭術中に麻酔を覚まして,患者に言語タスクを与えることで言語機能野を同定し,その部分を避けて腫瘍を摘出する。言葉で表すのは簡単だが,その実践には脳外科医,麻酔科医,看護師,言語療法士,臨床検査技師などのチーム医療が必須で,覚醒時に生じうるあらゆるリスクへの適確な対応が各専門家に求められる。

同時に,患者が覚醒下手術を十分に理解し,協力してくれることが成功の鍵を握る。術前にインフォームドコンセントを得,同じ手術台に乗って,手術参加メンバーとの顔合わせ,言語タスクのシミュレーションを行うことが重要になる。手術中には患者の好きな音楽を流し,知っている医療スタッフのもとで,安心して覚醒下の言語タスクを受けてもらうことが,安全な手術の遂行につながる。


◀ 1 2