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外傷性脊椎椎体骨折[私の治療]

登録日: 2021.03.20 最終更新日: 2026.02.21

高畑雅彦 (北海道大学大学院医学研究院機能再生医学分野整形外科学教室准教授)

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受傷機転によって頚椎,胸椎,腰椎のいずれにも起こりうるが,機能解剖学的に胸腰椎移行部に発生することが多い。安定型の骨折は保存的治療で治癒が期待できるが,不安定な骨折や変形が強い場合,麻痺がある場合は手術が必要となる。

▶診断のポイント

できるだけ腰痛や麻痺などの後遺症が残らないように治療することをめざす。そのため,椎体破壊の程度,靭帯損傷による不安定性,麻痺および全身状態から手術の要否・可否を適切に判断する必要がある。これらの要素をスコア化したthe thoracolumbar AO spine injury score(TL AOSIS)が治療方針決定に有用である1)。単純X線,CT,MRIの各画像検査所見から,後方靭帯損傷の有無,椎体破壊の場所や程度,神経圧迫の有無を評価する。Denisの“three column theory”に基づく,圧迫骨折(椎体後壁損傷なし),破裂骨折(椎体後壁損傷あり),脱臼骨折の分類が基本である。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

TL AOSIS分類で0~3点は保存的治療,4~5点は保存あるいは手術,6点以上は脊椎固定術を適応する。

【圧迫骨折,椎体スプリット骨折】

TL AOSIS分類A1,A2は安定型骨折であり,硬性コルセットによる外固定治療を行う。

【不完全破裂骨折】

TL AOSIS分類A3は上下どちらか一方の椎体終板のみを含む破裂骨折で,Denis分類Type B または Cに相当する。

一手目 :1椎間後方固定術

骨折椎体に椎弓根スクリュー設置が可能な場合は,1椎間の後方固定術を行う。

二手目 :〈一手目が困難な場合〉2椎間後方固定術

骨折椎体の上下椎に椎弓根スクリューを設置し,骨癒合後に抜釘する。

【完全破裂骨折】

TL AOSIS分類A4は上下の椎体終板破壊を伴う破裂骨折で,Denis分類Type Aに相当する。

手目 : 2椎間後方固定術+(後日)前方椎体置換術

経皮的椎弓根スクリューを用いての2椎間後方固定術を行い,後日,前方椎体置換術を行う。

二手目 :〈多発外傷等で待期手術の場合〉前方椎体置換による2椎間前方固定術(一期的に実施)

【チャンス骨折】

TL AOSIS分類B1はtension band損傷で,1つの椎体内で前方から後方を貫く骨折である。スコアは5点と高いが,靭帯損傷はなく骨癒合が得られれば安定するため,転位が少ない場合や麻痺がない場合には,コルセットによる保存的治療も選択肢となる。それ以外の場合は,経皮的椎弓根スクリューを用いた2椎間後方固定術を行い,骨癒合が得られた後に抜釘する。

【破裂骨折を伴う屈曲伸延損傷】

TL AOSIS分類B2はシートベルト損傷で,後方の靭帯損傷を伴う不安定型骨折である。椎体破壊の程度によって術式を使いわける必要がある。

一手目 :1椎間後方固定術

骨折椎体に椎弓根スクリュー設置が可能な場合は,1椎間の後方固定術を行う。

二手目 :〈一手目が困難な場合〉3ないし4椎間後方固定術

上下2椎体に椎弓根スクリューを設置した3ないし4椎間後方固定術を行う。

三手目 :〈椎体破壊が高度の場合〉2椎間後方固定術+(後日)前方椎体置換術

経皮的椎弓根スクリューを用いて2椎間後方固定術を行い,後日,前方椎体置換術を行う。

【リバースチャンス骨折】

TL AOSIS分類B3は,びまん性特発性脊椎骨増殖症(DISH)や強直性脊椎炎を基礎疾患として持つ患者にみられる骨折である。前縦靭帯の断裂があり不安定性の強い骨折であるため,脊椎固定術の適応である。脊椎強直により椎体内部は骨粗鬆症化しているため,上下2あるいは3椎体ずつに椎弓根スクリューを設置する長範囲の後方固定術を行う。

【転位を伴う脱臼骨折】

TL AOSIS分類Cは不安定な骨折であり,上下2椎体ずつに椎弓根スクリューを用いた後方固定術を行う。


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