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絨毛膜下血腫と早産・前期破水

登録日: 2020.01.23 最終更新日: 2026.02.21

諸隈誠一 (九州大学大学院医学研究院保健学部門教授) 最上晴太 (京都大学医学部婦人科学産科学)

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古くから,子宮内出血,特にその原因のひとつである絨毛膜下血腫と早産や前期破水との関連が言われていますが,そのメカニズムについてはよく知られていないと思います。早産に関して様々な側面からの知見をお持ちの京都大学・最上晴太先生にご教示をお願いします。

【質問者】

諸隈誠一 九州大学大学院医学研究院保健学部門教授


【回答】

【出血による凝固因子活性は早産,前期破水のリスクとなる】

妊娠中の不正性器出血の一因である絨毛膜下血腫は,子宮と卵膜との間に生じる血液貯留であり,絨毛膜下血腫は早産や前期破水の頻度を約2倍に増加させると言われています。

血液凝固因子であるトロンビンはセリンプロテアーゼであり,早産の症例ではトロンビン-アンチトロンビン複合体が母体血中で増加することが知られています。私たちも早産発症例の羊膜ではトロンビン活性が2倍増加していることを報告しました1)

胎児を包む卵膜の強靱性は羊膜のコラーゲンが担っています。前期破水は羊膜が脆弱になり膜が破れて羊水が流出しますが,このときコラーゲン分解酵素であるmatrix metalloproteinases(MM Ps)が活性化されています。トロンビンは羊膜間葉細胞におけるMMP1,2,9の発現と活性を増加させ,コラーゲン分解を促進しました1)

一方,羊膜はプロスタグランジン(prostaglandin:PG)E2産生を行う内分泌組織でもあります。PGE2は生理的には子宮頸管の熟化や子宮収縮を生じ陣痛発来に重要ですが,早期の病的な上昇は早産を生じます。ここでも,トロンビンは羊膜間葉細胞におけるPG産生の律速酵素であるシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)type2(COX2)の増加とPGE2産生を促しました1)


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