命を奪う大腿骨近位部骨折
多職種連携患者ケアシステムによる
臥床期間短縮と二次予防の普及が急務

まつした たかし:1975年東大卒。91年同大院修了。帝京大整形外科主任教授などを経て、2015年より福島県立医大外傷学講座主任教授、総合南東北病院外傷センター長。12年FFN(Fragility Fracture Network)日本分科会設立、15年よりNPO法人日本脆弱性骨折ネットワーク(FFN-Japan)として活動
高齢社会の進展に伴って、骨粗鬆症が原因の脆弱性骨折が増えている。我が国の脆弱性骨折の治療の現状と問題点について、日本脆弱性骨折ネットワーク理事長で福島県立医大外傷学主任教授の松下隆氏に聞いた。
大腿骨骨折は年間20万例
─脆弱性骨折の現状を教えてください。
脆弱性骨折は、骨粗鬆症、筋力と神経反射の低下で転びやすくなることによって起こる骨折です。中でも深刻なのが、寝たきりの原因になる大腿骨近位部骨折です。特に80歳以上の女性で急増します。
日本では大腿骨近位部骨折が年間約20万例発生しているとみられますが、2040年には年間30万例を超えると推計されます。
大腿骨近位部骨折を起こすと歩行が不自由になるなどQOLが低下し、寝たきりになって全身状態も悪化するリスクが高まるため生存率が下がります。特に、80歳以上の大腿骨近位部骨折患者の2年生存率は50%以下で、骨折をしていない同年代の人に比べて大幅に低下します。大腿骨近位部骨折は命を奪うリスクがあるのです。