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長引く発熱=不明熱? 不明熱と判断する前にこれをやる!

登録日: 2026.09.25 最終更新日: 2026.09.25

中村海人 (獨協医科大学リウマチ・膠原病内科)

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不明熱とは,文字通りに解釈すれば「原因がわからない発熱」ということになります。ただ,極論すれば,風邪も原因ウイルスがわからないことがほとんどですが,短期間で自然に治ってしまうので問題にはなりません。このような自然軽快するself-limitedな感染症は,原因がわからなくても不明熱として扱いません。不明熱として扱うのは,原因不明かつ「長引く発熱」です。

まだ原因をちゃんと調べていないのに,不明熱と判断するのも不適切です。不明熱だと判断する前に,前の項で解説したような長引く発熱の原因検索を一通り行うべきです。症状経過や随伴症状に加えて感染症患者との接触歴や野外活動歴,薬剤歴といった病歴を確認し,心雑音や刺し口などの身体所見がないか探し,血液培養を最低2セット採取し,造影CTや心エコーも積極的に検討します。不明熱と判断する前にやっておきたいこと(私案)を表3にまとめました。特に,適切な血液培養をとっておくことは,感染性心内膜炎や菌血症などを見逃さないために大変重要です。

ANCA陽性の解釈に注意
ANCA関連血管炎以外にも,様々な疾患でANCA陽性になることが知られています。特に,感染性心内膜炎ではANCA陽性が多いため,ANCA陽性の発熱の鑑別の際には必ず血液培養を採取するべきです49)。また,炎症性腸疾患やSLEでも陽性になることがあり,病的意義が不明な場合も少なくありません。ANCAが基準値以上であっても,抗体価が65U/mL未満のときはANCA関連血管炎の可能性が低下すると報告されています50)。ANCAの抗体価が比較的低値のときは,他の臨床所見もふまえて,より慎重な解釈が必要です。

具体的な不明熱の定義として最も有名なのが,1961年にPetersdorfとBeesonが発表した古典的不明熱の定義です。その定義は,「38.3℃以上の発熱が3週間以上続き,1週間の入院精査でも原因不明」というものでした25)。その後,医療事情の変化により,「38.3℃以上の発熱が3週間以上続き,3回の外来もしくは3日間の入院精査でも原因不明」と定義が修正されました26)。しかし,これらの定義はあくまで研究目的に作成されたものであり,実臨床にそのまま適用できるものではありません。精査の内容までは規定されていませんし,3週間という発熱期間の長さも,実際には経過からself-limitedな感染症が除外できれば十分です。既存の不明熱の定義は実臨床にそぐわないため,本稿では不明熱を「一通り調べても原因がわからない」「長引く発熱」と,あえてあいまいに定義することにします。

Point

不明熱とは

不明熱とは,「ちゃんと調べても原因がわからない」+「長引く発熱」。適切な血液培養をとらずに不明熱と言ってはいけない。

不明熱の新たな定義
2021年に不明熱の新たな定義が提案されました。新たな定義では,原因不明とする前に最低限調べるべきことのリストが明文化されました。筆者の提案と同様,血液培養は必須(しかも3セット以上)とされています51)。

※この記事は,FOCUS「どう考える? 長引く発熱・不明熱の鑑別」の一部を抜粋・編集したものです。文献リスト等については,製品版を参照ください。


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