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神経芽細胞腫における長期予後と晩期合併症【再発より合併症の併発が問題に。晩期合併症の自覚症状は非特異的で早期認識が難しい】

No.4905 (2018年04月28日発行) P.56

大谷俊樹 (かみざきキッズクリニック院長)

黒田達夫 (慶應義塾大学医学部小児外科教授)

登録日: 2018-04-26

最終更新日: 2018-04-20

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  • 小児科の開業医でも神経芽細胞腫の術後のお子さんを拝見することがあります。聞いてみると,極めて強力な治療をされていたりするのですが,神経芽細胞腫の長期予後,また今後起こりうる合併症について慶應義塾大学・黒田達夫先生にお伺いします。

    【質問者】

    大谷俊樹 かみざきキッズクリニック院長


    【回答】

    神経芽細胞腫は代表的な小児固形腫瘍で,ほかの小児がんと同様に大きな原発巣や遠隔転移巣の症状で発見されることが多く,大多数の症例は病期3以上の進行例です。全症例をおしなべて見ると5年生存率は60%程度で,MYCN遺伝子の増幅などがみられる最も高いリスク群の5年生存率は世界的にも30~40%とされます。寛解導入後の再発の多くは2年以内にみられ,治療終了から5年以上経過してから再発する症例はあまりみられません。

    成人癌と異なり,転移のある高リスク症例でも長期生存することは稀ではありませんが,神経芽細胞腫では多くの化学療法薬や放射線治療が併用されるため,強い治療を受けた症例が長期間を経過した場合,原疾患である神経芽細胞腫の再発よりも治療に関連した合併症の併発がより重要な問題になります。

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