株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS 医学部入試の規範を1カ月以内に作成へ―全国医学部長病院長会議が会見

No.4931 (2018年10月27日発行) P.19

登録日: 2018-10-17

最終更新日: 2018-10-17

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

東京医大の不正入試問題を受けて、全国医学部長病院長会議(AJMC)は16日に会見を開き、公平・公正な医学部入試のあり方を検討する小委員会を新設し、1カ月以内にアドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)の規範を示す方針を明らかにした。小委員会の嘉山孝正委員長は「受験生にとってフェアな規範を示したい」と意欲を示した。

新設された「大学医学部入学試験制度検討小委員会」では、①性別、浪人年数、内部進学、地域枠など、様々な入学枠に関する公平性の考え方、②募集要項等の受験生への事前情報提供のあり方―などについて検討。1カ月以内をメドに規範を作成し、その後、文部科学省や加盟大学との調整を経て、AJMCの公式な規範とする予定。

会見で嘉山氏は、文科省が全国の国公私立大学に通知している入学者選抜実施要項にはアドミッション・ポリシーに関する細かい規定がないことを指摘し、「小委員会としてアドミッション・ポリシーの幅がどこまであるのかを規定したい」と説明した。

■現役と浪人を点数調整する事前情報提供は許容か

このほか、文科省の私大支援事業を巡る汚職事件の捜査を発端として、東京医大の不正入試が明らかになったことについて「AJMCとして、一部の人間が私腹を肥やすような不正は断固として許さない」と述べ、汚職事件を批判する一方、不正入試に関しては、個別の事例について詳細を把握していないとした上で、「一般論として、受験生が分からない規定で合否が決められることは許せないこと」と述べた。

その一例として嘉山氏は、「(受験要項に)浪人であることを合否判定に多少加味すると書けば、受験生も(受験大学を)選択できる」と述べ、事前に情報提供すれば現役と浪人で点数調整することを許容する考えを示唆。性差による点数調整を情報提供することについては、地方の医師不足問題や女性医師が十分に働ける社会インフラが整備されていない問題に言及した上で「働き方改革とも関連するが、悩みながら考えたい。アドミッション・ポリシーに書けば何をやってもいいわけではないが、東京女子医大は女性限定でもよいと国民に受け入れられている。(男女同数の)イーブンではなく、受験生にとってフェアな規範を示したい」との見通しを示した。

不正入試問題について「国が本気になって(女性が十分に働ける)社会インフラを整えるいい機会にしてほしい」と話す嘉山孝正委員長(右)と全国医学部長病院長会議の山下英俊会長


関連記事

東京医大以外でも不正入試疑い、医学部長病院長会議が小委設置

https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=10888


関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top