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【識者の眼】「新コアカリとともに地域における医学教育イノベーションを進めよう」松村真司

No.5218 (2024年04月27日発行) P.60

松村真司 (松村医院院長)

登録日: 2024-04-12

最終更新日: 2024-04-12

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2024年度が始まった。当院は長年、複数の医学部の関連実習先として、地域医療に関する卒前・卒後教育に関わってきた。新年度を迎えたこの時期にはいつも感じることであるが、「今年はどんな学生・研修医が来るのだろう」と、期待と不安とが入り混じった心地よい緊張感に包まれている。

特に今年度は、改訂版の医学教育モデル・コア・カリキュラム(以下、新コアカリ)が、本年度入学者のカリキュラムから適用されるという新たな変化が加わっている。実際に教育を受ける学生が地域に訪れるまでにはもう少し時間があると思われるが、そのための準備は着実に進めていかなければならない。

既に本欄で紹介したように、新コアカリにおいては、大学をはじめとした教育機関だけではなく、地域の医療機関の存在、そして教育を担当する地域の指導者(コミュニティ・プリセプター)の果たす役割が増えていくと思われる。とりわけ、新コアカリに新設された基本項目「総合的に患者・生活者をみる姿勢(GE)」は、コミュニティ・プリセプターが行う教育が鍵になっていくであろう。また、新コアカリにはそれ以外にも「多職種連携」「プロフェッショナリズム」「生涯を通じてともに学ぶ姿勢」など、地域という学習の場を十分に活用することによって、より効果的な教育を行うことが可能になると思われる基本項目もある。そのためには、どのような内容を、どのような方法で教えていけばよいのだろうか。

新コアカリが発表されてから一定の時間がたったが、このような「教育内容」についての具体的な議論は、ようやく始まったところである。教育はただ単に熱意をもって学生を受け入れればよいというものではなく、越えなければならない様々な障壁が存在する。とりわけ、ここ数年は新型コロナの影響下ということもあり、見学型の実習が再び主流となってしまっている。これらを克服するためには、現場の努力だけではなく、卒前教育の責任を負っている大学側、学修者である学生、そして患者や一般市民など、すべてのステークホルダーの意見を取り入れた上で進めていかなければならない。

日々医学が進歩しているのと同様に、医学教育も進歩している。多くの学際的な知を導入し、地域の医学教育においてもイノベーションを起こさなければならない。その挑戦は、多くの人を巻き込んで、これからも続いていくことになるだろう。

松村真司(松村医院院長)[総合的に患者・生活者をみる姿勢]

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