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知的障害

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
稲垣真澄 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的障害研究部部長)
米田れい子 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的障害研究部)
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  • ■疾患メモ

    知的障害(intellectual disability:ID)とは,①知的機能が同年齢の平均よりも明らかに低下し,②適応行動(日常生活・社会的領域などでの適応機能)の水準が低く,適応に困難さがある状態を言い,③発達期(おおむね18歳まで)に発症すると定義される。すなわち,知的機能の低下と適応能力の明らかな制限を小児~思春期に発症する障害である。

    DSM-51)の診断基準をに示した。

    23_20_知的障害

    発生頻度は約1%前後と考えられている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    小児期には,言葉の発達の遅れで気づかれることが多い。3歳児健康診査でのスクリーニング(二語文の表出がないことや,言語理解の悪さなど)が重要である。自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder:ASD)などの合併症が先に診断され,後に知的障害が明らかになることもある。

    中等度以上の障害では,歩行が遅れるなど粗大運動の遅れから発見できるケースも多い。しかし,学齢期以降に学業不振で指摘を受け,障害が明確化する場合もある。

    症候としては手の不器用さ,社会的習慣の獲得の有無や運動の遅れ,社会性の遅れもみられ,集団行動ができにくいということもポイントとなる。多動や集中力の持続困難,自傷行為,反復的で常同的な動作,あるいは聴覚過敏などもみられる。

    自己評価が低く,対人的依存傾向があり,問題解決様式に柔軟性を欠くといったこともみられやすい。知的障害は中枢神経系の機能に影響を与える様々な病態でみられる疾患群である。明確な病名(ダウン症など)が判明すれば,原因疾患の病名が先行する。

    【検査所見】

    〈標準化知能検査〉

    ウェクスラー系(WISC-Ⅳ,成人用WAIS-Ⅲ)とビネー系(田中-ビネー式知能検査Ⅴ)がある。検査が不能な場合は,他の発達検査を用いて推定する場合もある。検査で得られた知能指数(全IQ)が平均より約2標準偏差以下(おおむねIQ値70未満)を知的能力が低いとするが,知能指数には誤差が生じることがあり,IQ値はあくまで目安である。

    〈適応機能〉

    日常生活でその人に期待される要求に対して,適切に対応し自立しているかを表す機能である。概念(会話,読み書き,学力など),社会性(遊び,集団行動,規則の理解や判断,対人コミュニケーションなど),実用(食事,排泄などの身辺自立度,課題への取り組み,金銭管理,仕事など)の各スキルについて問診などで確認し,支援の必要度も評価する。

    重症度は,概念(主に学力的),社会性,実用(生活・身辺自立)の3つの領域それぞれで,知的能力および適応能力の評価を行い,具体的支援の必要度の観点から,軽度,中等度,重度,最重度の4段階にわけられる。

    〈医学的検査〉

    原因検索のため,血液生化学検査や尿検査,脳波,聴力検査の一種である聴性脳幹反応(ABR)を含む誘発電位検査,頭部CTやMRIなどの神経画像検査を行う。染色体検査や遺伝子検査を実施することもある。確定診断や治療のために神経や筋肉,肝臓などの生検が必要な場合もある。

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