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深頸部膿瘍

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-04-13
河田 了 (大阪医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授)
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  • ■疾患メモ

    頸部の筋膜と筋膜の間(間隙)に膿瘍を形成した病態である。

    早期に診断し適切な治療を行わないと,急激な経過をたどり致死的になることがある。

    発症の原因としては,歯性(齲歯,抜歯),扁桃炎,唾液腺炎(耳下腺炎,顎下腺炎),外傷,異物等がある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    発熱や咽頭痛といった一般的炎症所見に加えて,頸部の腫脹,皮膚の発赤,頸部の疼痛,圧痛を認める。

    発症の原因となる疾患の症状(歯性,扁桃炎,唾液腺炎など)が先行していることが多い。ただし,原因となる疾患が明らかでない場合もある。

    炎症や膿瘍の影響で喉頭の腫脹をきたし,呼吸困難となることがある。

    耳鼻咽喉科領域の一般的な炎症疾患と比較して重篤感がある。

    【検査所見】

    視触診:口腔,咽頭所見をしっかりとる。原因となる歯性感染,扁桃炎,唾液腺炎等がないか観察する。これらの所見がないときは,異物の有無も考えておく。頸部の視触診で,腫脹,皮膚の発赤,局所の疼痛,圧痛を認める。

    ファイバースコープ:喉頭をファイバースコープで観察することは必須である。喉頭の浮腫,腫脹を認めることも多い。

    頸部造影CT:必須の検査である。一般に膿瘍腔は低吸収,膿瘍壁に造影効果を認める。どの間隙に膿瘍があるかをみるとともに,膿瘍の広がりを診断する。縦隔に進展している場合は撮影を胸部まで広げる。

    MRI:T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号に描出される。

    血液検査:白血球(好中球)増加とCRPの著明上昇を認める。これらは治療効果の判定にも有用であり,経時的に測定する。

    分離菌は好気性菌ではストレプトコッカス属が最も多く,嫌気性菌ではペプトストレプトコッカス属,プレボテラ属が多くみられる。複数の菌が同定されることも多い1)

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