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脳脊髄液減少症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-19
佐藤慎哉 (山形大学医学部総合医学教育センター教授)
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  • ■疾患メモ

    たとえば,腰椎穿刺の後に脳脊髄液が硬膜外に漏出し,起立時に生じる脳の下垂による血管や脳神経の牽引により頭痛が生じることは古くからよく知られていた。脳脊髄液の漏出は,その他,外傷や髄膜の嚢胞などでも生じうるが,特に誘因の明らかでない特発性の症例の存在も80年近く前より知られていた。典型的な症例では,脳脊髄液の減少により髄液圧が低下しているため低髄液圧症候群と呼ばれるが,同様の症状を呈しながら髄液圧が正常範囲内の症例も報告され,脳脊髄液減少症という用語も用いられている。

    本症に関する厚生労働科学研究費補助金による研究班〔研究代表者:嘉山孝正(山形大学医学部特任教授・日本脳神経外科学会理事長)〕では,現在の診断技術で診断可能なのは「脳脊髄液の漏出およびそれによる低髄液圧」であることから,用語として「脳脊髄液漏出症」を用いている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    頭痛が特徴的で,上述の研究班のデータでは90%以上が起立性の変化を示していた。

    その他,非特異的ではあるが,めまい,頸部痛・背部痛,耳鳴,聴力低下,光過敏など複数の症状を伴うこともある。

    【検査所見】

    画像診断として,脳および脊髄のMRI,RI脳槽シンチ,CTミエログラフィーなどが用いられる。ただし,これらの画像診断の診断率は,読影する医師の経験に大きく左右されるため,特に腰椎穿刺を必要とする侵襲性の高いRI脳槽シンチやCTミエログラフィーは,一般の病院で安易に行うべきではない。

    低髄液圧を証明するための髄液検査は,その後の画像診断に大きな影響を与えるため,現在は髄液検査は単独で行われるよりも,RI脳槽シンチやCTミエログラフィーの際に行われることが多い。

    それぞれの画像診断における主たる評価項目は,以下の通りである。

    ・頭部MRIの所見としては,硬膜増強効果や硬膜下腔への液体貯留(図1)。

    ・脊髄MRIでは,硬膜外の水信号の有無(図2)。

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    ・RI脳槽シンチやCTミエログラフィーでは,RIや造影剤の硬膜外への漏れ。

    ・従来から報告のある,脳静脈洞の怒張,脳下垂体の腫大,小脳扁桃の下垂などのMRI所見は判定が難しく,その判断は専門医にゆだねるべきである。

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