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多発性単ニューロパチー

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
神田 隆 (山口大学大学院医学系研究科神経内科学教授)
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  • ■疾患メモ

    個々の末梢神経幹がランダムに侵される疾患で,筋力低下や感覚障害は障害された神経の支配領域(たとえば右尺骨神経,左腓骨神経など)に強調される。

    左右対称性,遠位部優位の障害パターンをとる多発ニューロパチーとは基本的に異なる症状を呈するが,臨床的にどちらであるか判別が困難な症例にもしばしば遭遇する。

    基礎疾患として最も高頻度にみられるのは血管炎症候群1)で,特に,小血管が侵されるANCA(anti-neutrophil cytoplasmic antibody)関連血管炎(microscopic polyangiitis:MPA,eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA,granulomatosis with polyangiitis:GPA)が多い。

    血管炎以外にも,SLEをはじめとする各種膠原病のほか,サルコイドーシスや悪性リンパ腫など様々な炎症性・腫瘍性疾患が原因になることがあり,治療方針の決定には原疾患の確実な診断が何より重要である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    運動障害(筋力低下,筋萎縮),感覚障害(感覚低下,異常感覚,錯感覚)が左右非対称にみられ,主要神経幹ごとに障害の強さが異なるのが大きな特徴である。

    【検査所見】

    神経伝導検査では基本的に軸索障害のパターンがみられ,神経ごとに障害の強さが異なるのが特徴。

    針筋電図でも神経原性変化の分布が支配神経ごとに異なるという所見が認められる。

    血管炎を背景にする患者では,急性増悪期にはCRP上昇,赤沈亢進などの炎症所見がみられ,MPO(myelo-peroxidase)-ANCA,PR3(proteinase 3)-ANCAなどの自己抗体が高頻度に陽性となる。

    EGPAによる多発性単ニューロパチーでは,多くの例で好酸球増多や高IgE血症が観察される。

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