株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

特発性正常圧水頭症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-19
森 悦朗 (東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野教授)
    • 1
    • 2
  • next
  • ■疾患メモ

    正常圧水頭症は,認知障害,歩行障害,尿失禁を呈する症候群で,脳室拡大はあるが髄液圧は正常範囲内で,脳脊髄液短絡術によって症状改善が得られる病態をいう。

    くも膜下出血や髄膜炎などに続発する二次性正常圧水頭症と,明らかな先行する原因疾患がない特発性正常圧水頭症にわけられる。

    特発性正常圧水頭症は高齢者に生じ,最近のわが国の地域在住高齢者の疫学調査で2.3%にその疑いがあることが示され,高齢者の歩行障害や認知機能障害をきたす大きな原因の1つで,治療可能な疾患として重要である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    歩行障害が最も多くみられ,速度低下,小歩,開脚,低い足の上がり,歩行開始困難,転回時の動揺を特徴とし,失調性/失行性歩行と表現される。

    注意障害,思考緩慢,無関心が比較的目立つ認知症を生じるが,初期には認知障害を欠くもの,軽度認知障害にとどまるものもある。

    無抑制膀胱が特徴的で,初期には頻尿,進行すると尿失禁を生じる。

    手・足の把握反射,四肢のGegenhalten,姿勢反射障害もよく認められる神経学的所見である。

    【検査所見】

    CT,MRIで全脳室拡大を認めることが必須であり,Evans index(両側側脳室前角間最大幅/その部位における頭蓋内腔幅)は0.3を超える。

    大多数の例では,シルビウス裂が拡大する一方で,高位円蓋部くも膜下腔は狭小化し,くも膜下腔の不均衡な拡大を伴う水頭症(disproportionately enlarged subarach-noid-space hydrocephalus:DESH)と呼ばれる形態を示し(),それは特発性正常圧水頭症を示唆する特徴的な所見で,MRI冠状断で評価しやすい。

    08_10_特発性正常圧水頭症

    腰椎穿刺で,圧は正常範囲内(200mmH2O以下),脳脊髄液の蛋白,細胞も正常である。

    脳脊髄液排除試験(タップテスト)で,一時的に脳脊髄液を排除(通常30mL)して,その直後から数日以内に症状の改善が生じれば脳脊髄液短絡術に対する反応性を示唆する。

    タップテストの感度は高くないので必須ではないが,診断に疑義がある場合や,併存症の寄与が疑われる場合には有用である。

    1190疾患を網羅した最新版
    1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中


    PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
    コチラより

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    page top