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胆嚢結石症

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  • ■治療の考え方

    胆嚢結石の治療方針は,無症状胆石と,有症状あるいは合併症を伴う胆嚢結石にわけて考える。

    治療法は,①経過観察,②経口結石溶解療法,③体外式衝撃波結石破砕療法,④外科的胆嚢摘出術,の大きく4つの選択肢がある。経過観察および結石に対する治療の目的は胆嚢機能の温存である。

    胆嚢結石の有症状化率は約20%であり,多数が無症状にて経過する。無症状の場合は経過観察とする。

    経口結石溶解療法では,ウルソデオキシコール酸(UDCA)の内服により結石溶解を行う。

    経口結石溶解療法および体外式衝撃波結石破砕療法の治療選択には,胆石成分と胆嚢機能が温存されていることが条件となる()。

    06_20_胆嚢結石症

    ■治療上の一般的注意&禁忌

    【注意】

    胆嚢結石の治療において胆嚢を温存した場合,胆嚢癌の頻度が上昇するため定期的な観察を怠ってはならない。

    ■典型的治療

    【無症状胆石】

    無症状胆嚢結石に対しては,基本的に経過観察とする。

    結石の有症状化を未然に防ぐ意味での経口溶解療法,体外式衝撃波結石破砕療法(extracorporeal shock wave lithotripsy:ESWL)も適応であるが,結石成分や胆嚢機能の程度により,治療効果の期待できない例では慎むべきである。

    経口溶解療法の適応は,結石が純コレステロール石(腹部超音波上,土屋分類Ⅰ型,CT上結石が描出されない)で,かつ胆嚢機能が温存されていることが条件であり,UDCA 600mg/日(内服)が標準的な治療薬となる。

    一手目:ウルソ®100mg錠(ウルソデオキシコール酸)1回2錠 1日3回

    ESWLの適応は,コレステロール石(腹部超音波上,土屋分類Ⅰ型およびⅡa型,CT上結石の外郭石灰化部分のCT値が50HU以下であること)で,かつ胆嚢機能が温存されていることが条件である。

    ESWLで結石除去に成功した症例でも,破砕後経過観察のみとした場合,5年間でおおよそ40%の結石再発を認めることをあらかじめ説明しておく必要がある。

    経過観察例で,有症状化を予防する目的でのUDCA 300mg/日(内服)は,顕症率を約10%低下させる。

    無症状胆石であっても,陶器様胆嚢,胆嚢腺筋症,石灰乳胆汁など癌合併の危険のある場合は,胆嚢摘出術の適応である。

    【有症状胆石】

    胆石発作に対しては,絶食の上抗コリン薬の投与を行う。

    一手目:ブスコパン®10mg錠/注20mg(ブチルスコポラミン)1回1~2錠(頓用)/1回1アンプル(筋注,頓用)

    二手目:〈一手目に追加〉コリオパン®10mg錠(ブトロピウム)1回1錠 1日3回

    三手目:〈二手目に追加〉ペンタジン®注15mg(ペンタゾシン)1回1アンプル(筋注,頓用),硫酸アトロピン 1回0.5アンプル(筋注,頓用)併用

    右季肋部痛を繰り返すような症例は,積極的に結石除去を目的とした治療を検討する。適応であれば経口胆石溶解療法やESWLによる結石除去,適応のない症例では胆嚢摘出術を考慮する。

    しかし,たとえ有症状であっても症状の頻度や程度は様々であり,患者の社会的背景,二次的な合併症,あるいは胆嚢存在の生理的意義に加えて,患者の希望も汲んだ上での治療選択とインフォームドコンセントがなされることが望まれる。

    ■偶発症・合併症への対応

    胆石発作後6時間以上疼痛が持続する場合は,急性胆嚢炎の合併を疑う。

    急性胆嚢炎では,白血球増加などの炎症所見ALP,γ-GTP,LAPといった胆管系酵素の上昇,AST,ALTの上昇,急性炎症を反映してTTT,ZTTの上昇,ビリルビン値の高値を認める。

    播種性血管内凝固症候群(DIC),敗血症への進展は,PT,PTT凝固系因子の延長,血小板数の低下をもたらす。

    急性胆嚢炎時の治療方針は,炎症から離脱する治療と結石除去の治療に大別されるが,まず炎症の治療が優先される。炎症の治療の基本は,抗菌薬の投与とドレナージであり,時期を逃さず実施されなければならない。

    ドレナージの基本手技には,経皮経肝胆嚢穿刺を行いチューブ留置(percutaneous transhepatic gallbladder drainage:PTGBD)と穿刺吸引(percutaneous transhepatic gallbladder aspiration:PTGBA)を行う方法がある。また,経乳頭的アプローチとして内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ(endoscopic nasobiliary gallbladder drainage:ENGBD)も行われる。また,一期的な緊急の手術の適応でもある。

    重症度の判断には,超音波検査,CTなどの画像診断は不可欠である。肝機能検査も併せて総合的に判断しなければならない。急性胆嚢炎の病期判定と必要な処置は,急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドラインにまとめられている。

    ドレナージを基本に治療した場合でも,再発・再燃を考慮して炎症の改善を待って胆摘術を考慮する。

    ■ケアおよび在宅でのポイント

    胆嚢機能の温存されている症例で胆嚢摘出した場合,胆摘後症候群を含め,食後の腹痛,下痢などの症状を約30%で認める。

    胆摘後症候群においては,摂食時間や脂質の多い食事の回避などを指導する。

    ■文献・参考資料

    【参考】

    ▶ 日本消化器病学会, 編:胆石症診療ガイドライン2016. 改訂第2版南江堂, 2016.

    ▶ 急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン改訂出版委員会, 編:急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2013. 第2版. 医学図書出版, 2013.

    ▶ 大屋敏秀:日医師会誌. 2012;141(2):284-7.

    ▶ 田妻 進:胆と膵. 2013;34(11):1113-7.

    【執筆者】 大屋敏秀(中国労災病院副院長)

    【執筆者】 田妻 進(広島大学病院総合内科・総合診療科教授)

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