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胆嚢ポリープ・胆嚢腺筋腫症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
乾 和郎 (藤田保健衛生大学坂文種報德會病院消化器内科教授)
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  • ■疾患メモ

    胆嚢ポリープ(gallbladder polyp)には病理組織学的に,コレステロールポリープ,過形成性ポリープ,炎症性ポリープ,腺腫など様々な病変がある。

    胆嚢腺筋腫症(gallbladder adenomyomatosis)はRAS(Rokitansky-Aschoff sinus)の拡張と増殖が特徴で,胆嚢壁の肥厚する部位によって限局型,分節型,びまん型に分類される。

    健診での発見頻度は胆嚢ポリープが4.3~6.9%,胆嚢腺筋腫症が約0.5%である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    通常,自覚症状や異常な身体所見を認めないが,分節型腺筋腫症やコレステロールポリープで胆石を合併すると,胆石症状が出現することがある。

    腺腫は癌化の可能性があるが,コレステロールポリープ,過形成性ポリープ,腺筋腫症には癌化の可能性はほとんどない。

    【検査所見】

    鑑別診断には病変の大きさと形態が重要で,特に付着部を観察し,有茎性か広基性かが重要である。

    大きさが5mm以下で多発し,内部に高輝度点状エコーを認める場合,コレステロールポリープと診断できる。

    胆嚢壁肥厚が主体の病変で,腫瘍内に小嚢胞エコー,高エコー部(壁内結石),コメットサインを認めれば,胆嚢腺筋腫症と診断できる。

    広基性,大きさ10mm以上,充実性エコー,血流豊富といった所見を認めたときは,胆嚢癌を疑ってCT,MRIなどを行う。

    〈超音波〉

    コレステロールポリープ:有茎性で桑実状を呈し,内部に輝度の高い点状エコーを認める1)。この場合,有茎性といっても茎は細く描出されることは少ない。大きさは5mm未満で多発することが多い。10mm以上に大きくなっても,高輝度な点状エコーを認め,桑実状を呈するものはコレステロールポリープと診断できる(図1)。

    腺筋腫症:限局性腺筋腫症は大きさが10mm以上であることが多く,なだらかな立ち上がりで粘膜下腫瘍様の形態を呈する。内部に拡張したRASを表す小嚢胞エコー(無エコー部)や高エコー部,コメットサインを認める(図2)。

    06_19_胆嚢ポリープ・胆嚢腺筋腫症

    〈CT〉

    コレステロールポリープ:単純CTでは10mm以上でも描出されないことが多い。ただし,造影CTで淡く濃染することがあるので,癌との鑑別診断に注意を要する。

    腺筋腫症:限局型では広基性隆起を,びまん型では全周性壁肥厚を呈し,造影CTで拡張したRASの部分が低吸収域となることで診断できる。ダイナミックCTでは,癌は早期に濃染して遷延し,良性病変は早期に濃染して早期にwash outされる。

    〈MRI〉

    コレステロールポリープ:T2強調画像で,低信号な隆起性病変として描出される。造影ではCTと同様で,淡く造影されることがある。

    腺筋腫症:拡張したRASが胆嚢壁周囲に認められる所見(ネックレスサイン)を認める。

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