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コンパートメント症候群

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-12
矢形幸久 (兵庫県災害医療センター整形外科副部長)
中山伸一 (兵庫県災害医療センター災害医学・センター長)
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  • ■治療の考え方

    ここでは,最も一般的な四肢外傷におけるコンパートメント症候群について解説する。

    受傷様式から,発症の可能性を想定して対処する。コンパートメント症候群の診断に至った場合には,無用な待機期間を設けることなく速やかに処置を行う必要がある。

    骨折を伴えばその安定化の後に緊急減張切開を行い,患肢冷罨を行う。減張切開創は感染に注意して管理し,可及的早期に一次閉創・分層植皮を行うようにする。

    ■病歴聴取のポイント

    受傷様式:患部に加わった外力の大きさを類推する。長時間圧挫されていたような場合には,リスクが高い。

    持続時間:加わった外力や骨折様式などによって異なる。搬入時には徴候が認められなくても,経時的に腫脹が進行して発症することもしばしばあるため,注意を要する。

    その他,抗凝固薬の服用など,出血・腫脹を助長する要素の有無を把握する。

    ■バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    5つのP:痛み(pain),感覚障害(paresthesia),麻痺(paralysis),蒼白(pallor),脈拍の消失(pulseless)が特徴的5徴として知られる。しかし,これらがすべて揃うことはほとんどなく,1つでもあれば発症を疑うべきである。

    【身体診察】

    視診:罹患部位の腫脹の程度と皮膚の性状を観察する。皮膚の緊張・光沢,水疱形成などの所見があれば発症を強く疑う。

    触診:患部の緊満感を確認する。前腕や下腿の場合,区画に含まれる筋に対する伸展ストレスを加えて激烈な疼痛の訴えが聞かれる場合は,既に緊急性が高い状態と判断する。

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