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小児・思春期の「やせ症」への対応【「体重を増やさざるをえない」治療動機の発掘と現実的な栄養指導】

No.4909 (2018年05月26日発行) P.55

岡田知雄 (神奈川工科大学応用バイオ科学部 栄養生命科学科特任教授)

鈴木眞理 (政策研究大学院大学保健管理センター教授)

登録日: 2018-05-27

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  • 小児・思春期の「やせ症」についてのプライマリケアにおいて,小児科医として注意すべき対応に関してご指導下さい。政策研究大学院大学・鈴木眞理先生にお願いします。

    【質問者】

    岡田知雄 神奈川工科大学応用バイオ科学部 栄養生命科学科特任教授


    【回答】

    神経性やせ症(2014年に疾患名統一)のプライマリケアは,①やせをきたす他の疾患を除外,②診断,③栄養アセスメントによる内科的緊急入院と労作制限の判断,④精神科的併存症や発達障害の診断,⑤心理教育と栄養指導・療法の導入,⑥家族への指導,⑦学校との連携です1)

    診断では,%標準体重だけでなく,身長曲線で経過を確認します。体重が減る,あるいは増えないことも異常所見です。徐脈や低体温は有力な理学的所見です。小児例では,①ダイエットの既往ややせ願望がはっきりしない,②感冒や大腸炎の食欲不振に引き続いて発症しやすい,③腹痛や嘔気などの身体症状を伴いやすい,が特徴で,広汎性発達障害に合併することもあります。

    小児は体脂肪量が少ないので,急激に身体状況が悪化することがあります。そのため,入院の身体的基準は15歳以上より厳しくなり,①標準体重の70%以下の体重,あるいは急激な体重減少,②心拍数50/分以下,③血圧80/50mmHg以下,④低カリウム血症,⑤低リン血症,のうち1項目が当てはまれば適応になります2)。成長期の患者では,ある程度の体重回復を急ぎます。著者らの検討で,血清インスリン様成長因子-Ⅰが低下するBMI 16 kg/m2の期間が長いほど,低身長や骨密度の低下を起こします。

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