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医療ドラマ「ブラックペアン」のCRCの描写で抗議文─日本臨床薬理学会

No.4908 (2018年05月19日発行) P.18

登録日: 2018-05-09

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日本臨床薬理学会は7日、TBSテレビで放送中の医療ドラマ「ブラックペアン」について、臨床研究コーディネーター(Clinical Research Coordinator:CRC)と負担軽減費の描写が現実と乖離しているとして、同日付でTBSテレビに抗議文を送付したことを明らかにした。

それによると、同ドラマでCRCが医療機器治験被験者候補の患者に額面300万円の小切手を渡すシーンがあったことに言及。これを「最も問題である場面」と批判した。

負担軽減費について同学会は、治験参加の謝礼ではなく、あくまで負担を軽減する費用であり、「1回の来院あたり7000~8000円とする施設がほとんど」と説明。この金額は、患者と付き添い者の交通費と昼食代に相当する費用を調査し、治験参加の誘因にならない金額として定められた背景があり、治験審査委員会で妥当性についても審査されていると指摘。治験参加者に手渡しすることも「ありえない」と明言した。

その上で、「これらのことは、ドラマの演出上という言葉で片付けられない」と批判。これまで治験に参加した患者が多額の負担軽減費を受け取ったと誤解を受けることや、今後患者がCRCや治験に不信感を持ち、治験を通じた新薬・医療機器開発への協力を得られなくなることを危惧した。さらに、「それは医療イノベーションを目指す日本にとって大きな損失につながる」と憂慮するとともに、TBSテレビに対し「あまりに現実と乖離した描写を避けていただくよう希望する」と求めた。

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