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高齢者ポリファーマシーの現状と対策【有害事象増加と医療費増大の対策として診療報酬改定に薬剤総合評価調整管理料を収載】

No.4901 (2018年03月31日発行) P.51

竹屋 泰 (大阪大学老年・総合内科医学部講師)

登録日: 2018-03-29

最終更新日: 2018-03-27

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高齢者は多病であるがゆえに多剤となりやすく,超高齢社会を迎えたわが国では,高齢者のポリファーマシーが問題になっている。ポリファーマシーは,薬物有害事象の増加と医療費の増大につながり,これらの対策として,2015年に『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015』が10年ぶりに改訂となった。また,16年には多剤・重複投薬の削減や残薬解消への取り組みを保険収載とする診療報酬改定が行われた。

高齢者においては,若年者に比べて薬物有害事象の発生が多く,重症化しやすいことがわかっており,効果に比べて安全性が劣るといった理由から,高齢者において処方の優先順位が低いと考えられる薬剤がある。『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015』では,75歳以上あるいは75歳未満でもフレイル~要介護状態の高齢者を対象に,「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」として19分類,「開始を考慮するべき薬物のリスト」として8分類の薬剤をリストアップし,高齢者の薬物療法の注意点について述べている。

07年の日本薬剤師会の調査では,後期高齢者の残薬は,処方された薬剤の24%に相当し,金額にして年間475億円程度と推察されている。16年度の診療報酬改定で,残薬や重複投薬,不適切な多剤投薬・長期投薬を減らすための取り組みとして,入院中あるいは外来において,4週間以上服用している6種類以上の薬剤を,2種類以上減薬できた場合に,薬剤総合評価調整管理料として250点を算定できることになった。

【解説】

竹屋 泰 大阪大学老年・総合内科医学部講師

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