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若年者に対する乳房検査の適応,選択と注意点【痛みなどの自覚症状がある場合は,超音波検査を中心に行う】

No.4899 (2018年03月17日発行) P.55

白岩美咲 (香川県立中央病院乳腺センター部長)

東野英利子 (つくば国際ブレストクリニック顧問)

登録日: 2018-03-14

最終更新日: 2018-03-13

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  • 若年で乳癌に罹患した芸能人の報道もあり,20歳代,30歳代の方から乳房検査について質問される機会が増えています。自覚症状や家族歴の有無でも異なると思いますが,20歳代,30歳代のマンモグラフィ,乳房超音波検査の適応・選択と注意点について教えて下さい。つくば国際ブレストクリニック・東野英利子先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    白岩美咲 香川県立中央病院乳腺センター部長



    【回答】

    日本人女性の乳癌罹患数・率,死亡数・率は増加傾向にあり,生涯リスクは11人に1人と言われています。乳癌は30~64歳のがんによる死亡原因の第1位です。国立がんセンターが公表している統計(http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#mortality)では2013年の推定乳癌罹患数は20歳代で300人余り,30歳代で3500人余りとなっており,40歳代は1万5000人余りです。2016年の乳癌による死亡数は20歳代で18人,30歳代で288人であり,40歳代は1388人です。乳癌は30歳代後半にはやや増加するものの,20歳代,30歳代前半では非常に稀と言えます。したがって,遺伝子異常や家族歴等のリスクファクターのない女性に対して乳癌の検診を行う科学的根拠はありません。本人の希望で実施する場合には疑陽性(がんではないのに要精査となること),偽陰性(乳癌があるのに検出できないこと,特に高濃度乳房に対するマンモグラフィ検査)等の不利益に関して,十分に説明する必要があります。

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