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theranosticsと核医学【甲状腺癌の放射性ヨウ素内用療法などで取り入れられている】

No.4875 (2017年09月30日発行) P.55

山 直也 (札幌医科大学放射線診断学講師)

登録日: 2017-10-03

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「theranostics」とは「therapeutics」と「diagnosis」を融合した造語であり,個々の患者の病変の位置やその性質をとらえ,それに適した治療かどうかを判定しながら治療を行うという治療法や考え方を示す言葉である1)

核医学におけるtheranosticsの例として,甲状腺癌の放射性ヨウ素内用療法が挙げられる。治療効果の期待できるベータ線と,画像診断に用いるガンマ線の両者を放出する放射性ヨウ素(131I)を投与することで,実際に病巣に放射性ヨウ素が到達したかどうかを評価しながら治療がなされる。また,塩化ストロンチウム(89Sr)を用いた骨転移の疼痛緩和療法や,塩化ラジウム(223Ra)を用いた前立腺癌の骨転移の治療においては,骨シンチグラフィで病巣への集積を評価して適応が決定されており,放射性物質で標識したモノクローナル抗体を診断と治療に用いる悪性リンパ腫の治療も行われている。さらに,海外では放射性物質で標識したソマトスタチン類似体を用いて行う神経内分泌腫瘍の治療も行われている。

theranosticsにおいては,投与した物質の分布の情報を得ることが重要なので,放射線医学の中でもとりわけ核医学分野に大きな期待が寄せられており,さらに多くの疾患に対する研究や臨床応用が期待されている。

【文献】

1) Chen XS:Theranostics. 2011;1:1-2.

【解説】

山 直也 札幌医科大学放射線診断学講師

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