株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

途上国の感染症制圧目指す官民基金が5周年【住血吸虫症薬が第3相試験へ】

No.4859 (2017年06月10日発行) P.15

登録日: 2017-06-06

最終更新日: 2017-06-08

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

発展途上国に蔓延する感染症を制圧するための製品開発を目指し、2013年に発足した官民連携による「グローバルヘルス技術振興基金」が5年目を迎えるに当たり1日に記者会見を開き、今年の年末にもアステラス製薬が参画する住血吸虫症の治療薬の研究が第3相試験に進む予定であることを明らかにした。

同基金の対象疾患はHIV/AIDS、マラリア、結核、顧みられない熱帯病(用語解説)で、これらの治療薬、ワクチン、診断薬の開発を目指す。第1期(13〜17年度)の資金は約100億円で、これまでに61件の研究に投資。現在は39件の研究が進行中で、6件は臨床試験が進み、2件が第2相試験を終えた。

会見でBTスリングスビー同基金CEOは、第2期(18〜22年度)の事業に対して約200億円の資金を確保したことを明らかにした上で、「次の5年間は製品開発を実現し、いかに患者の元に届けるかが重要になる」と述べ、製品開発後の体制整備を進める考えを示した。約200億円の拠出内訳は、日本政府(外務省、厚生労働省)が約100億円、財団(ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム・トラスト)が約53億円、製薬企業(15社)が46億円。

【顧みられない熱帯病】:ブルーリ潰瘍、シャーガス病、デング熱、メジナ虫症(ギニアワーム)、エキノコックス症、食物媒介吸虫類感染症、アフリカ睡眠病、リーシュマニア症、ハンセン病、リンパ系フィラリア症(象皮病)、オンコセルカ症(河川盲目症)、狂犬病、住血吸虫症、土壌伝播寄生虫症(回虫など)、嚢虫症、トラコーマ、トレポネーマ感染症/フランベジア(イチゴ腫)、マイセトーマの18疾患。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top