株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

慢性活動性EBウイルス感染症 【同種幹細胞移植が唯一の根治治療であるが,成人例は依然,予後不良】

No.4829 (2016年11月12日発行) P.49

得平道英 (埼玉医科大学総合医療センター血液内科教授)

登録日: 2016-11-08

最終更新日: 2016-11-08

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

慢性活動性EBウイルス感染症(chronic active Epstein-Barr virus infection:CAEBV)はEBVに関する免疫不全が基盤に存在し,EBV感染細胞(T細胞もしくはNK細胞)が生体内で増殖することにより,伝染性単核球症(IM)様の発熱,リンパ節腫脹や肝脾腫が生じて,再燃・再発を繰り返す。さらに重篤になると血球貪食症候群や中枢神経を含む様々な臓器障害が出現し多臓器不全に至る1)。また,蚊刺過敏症などの皮膚症状を伴うことも知られている。1970年代にはその存在は明らかにされていたが,現在の診断基準は,①IM様症状が3カ月以上持続,②末梢血または病変組織におけるEBVゲノム量の増加,③T細胞あるいはNK細胞にEBV感染を認める,④既知の疾患とは異なる,の4項目と定義されている(厚生労働科学研究難治性疾患政策研究)2)。なお,EBVゲノム量はreal time PCR法にて測定可能である(保険適用なし)。

これまで化学療法を含め様々な治療が行われてきたが,同種幹細胞移植が唯一の根治治療である。reduced-intensity conditioningを用いた成績において,小児では全生存は90%以上と良好である一方,成人例は依然,予後不良となっている。希少疾患であり,今後さらなる病態の解明が求められている。

【文献】

1) 澤田明久, 他:日造血細胞移植会誌. 2014;3(1):1-11.

2)厚生労働省研究班:慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)診断基準案. 2015.
[http://www.med.nagoya-u.ac.jp/virus/CAEBV shindankijyun20150805.pdf]

【解説】

得平道英 埼玉医科大学総合医療センター血液内科教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top