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抗CCP抗体陽性者における関節炎発症予測因子の検討 【超早期のRAを診断する場合,朝のこわばりと小関節の圧痛の出現に留意】

No.4815 (2016年08月06日発行) P.47

杉山英二 (広島大学病院リウマチ・膠原病科教授)

登録日: 2016-08-06

最終更新日: 2016-10-30

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抗CCP抗体は関節リウマチ(RA)に特異性が高く,日常診療において診断マーカーとして汎用されている。この抗体はRA発症以前から陽性になることが多く,RAの超早期の診断に有用かもしれない。抗CCP抗体陽性の健常者を追跡調査すると,関節炎発症の2年ほど前から体調不良を訴えて,医療機関を受診する頻度が高くなることが報告されている。そこでRakiehら(文献1)は,関節炎はないが,非特異的な筋骨格系の症状を呈した抗CCP抗体陽性者100例を対象に,コホート観察研究を行った。24カ月間追跡調査し,50例に関節炎の発症を認め,その86%は2010年のRA分類基準を満たした。関節炎発症の有無と遺伝的背景,臨床検査,臨床症状の関連性について検討したところ,①手,足趾の小関節の圧痛,②30分以上の朝のこわばり,③RFあるいは抗CCP抗体高値(正常上限の3倍以上),④関節エコー検査によるパワードプラーシグナル陽性,の4項目が関節炎発症のリスク因子として抽出された。
関節エコー検査は一般診療ではまだ普及していないが,抗CCP抗体が陽性でRFあるいは抗CCP抗体の力価が高い場合,30分以上の朝のこわばりと小関節の圧痛がみられると,関節炎の発症リスクが高まると結論している。本研究では,対象者が限られており今後の検討が必要であるが,抗CCP抗体陽性の健常者において,超早期のRAを診断するために,朝のこわばりと小関節の圧痛の出現に留意すべきである。

【文献】


1) Rakieh C, et al:Ann Rheum Dis. 2015;74(9):1659-66.

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