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アキュートケアサージャリー(ACS)  【外傷外科ほか3本の柱から成る,外科診療と外科教育に関する新たな概念】

No.4813 (2016年07月23日発行) P.51

藤田 尚 (帝京大学医学部附属病院 救命救急センター准教授)

坂本哲也 (帝京大学医学部附属病院 救命救急センター主任教授)

登録日: 2016-07-23

最終更新日: 2016-10-29

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アキュートケアサージャリー(acute care surgery:ACS)とは,“外傷外科”,“救急外科”,“外科集中治療”を3本の柱に,外科診療と外科教育を行う新しい試みである。米国外傷外科学会(The American Association for the Surgery of Trauma:AAST)は,外傷症例の減少と非手術療法の台頭により,外傷部門のみでの外科研修では十分ではないとして,上記の3つのサブスペシャリティーを統合した研修カリキュラムを提唱した。
AASTは,学会誌の名称も「Journal of Trauma and Acute Care Surgery」に,年次総会もAAST and Clinical Congress of Acute Care Surgeryに変え,外傷外科一辺倒から救急外科に軸足を移しつつある。
わが国でも日本ACS学会が設立され,各種外科救急関連学会でも,そのあり方について議論されている。また,外科の講座として新たにACS講座が設立されたり,これまで外傷を中心に扱ってきた救命救急センターでも,腹膜炎,出血,虚血,腸閉塞などの急性腹症の手術を幅広く取り扱うようになるなど,様々な取り組みが始まっている。わが国のACSの概念は米国と同じでも,研修に十分な症例数が得られるか,など,わが国での検討課題も多い。
2012年度から当直明けの外科医が翌日待機手術に入らないことで,診療報酬上の加算も認められており,待機手術を担当するグループと,外傷も含めたすべての緊急手術に対応するACSグループをわけることは,特定機能病院における患者安全の立場からも推奨すべき方策となるであろう。

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